解約手付
かいやくてつけ
解約手付とは手付の一種です。この手付を放棄することによって、任意に契約の解除ができることを指しています。
本来、契約解除には債務の不履行や
売主による担保責任などの法律的な要因があるか、契約成立後に当事者が解除に対して合意している必要があります。つまり、解除の際に明確な理由が必要です。しかし、解約手付を事前に設定することで、当事者である
売主・買主の両者が契約解除の権利を持ち続けることができます。どういうことかというと、買主は解約手付を放棄することで売買契約を無効にできます。また、
売主側も手付の倍額を買主に支払うことで損害賠償などを支払わずに契約を解除できるのが解約手付の目的です。
一般的に、不動産売買においては特別な契約の定めがない限りは手付とは解約手付のことを指します。昭和24年10月4日の最高裁判例でも手付に対してはこのように推定するとしており、契約上、手付とは原則解約手付とするのが裁判でも確定しているのです。
なお、契約している相手が契約の履行に着手した時点から契約解除ができなくなるものとしています。したがって、解約手付の効力は
売主が契約履行の着手時点、買主は代金の一部の
内金を支払った時点で
売主が契約解除になるとされています。
内金
内金とは、買主が売主に対して、売買代金の一部を前払いとして支払うものです。売主が売買物件の抵当権を抹消するためとか(住宅ローンの残金を清算して、銀行の抵当権を抹消するなど)、売主の転居先を確保する、借家人に立退き料を払うなど、売主に契約履行のための準備をしてもらうために、買主が協力する意味で支払うものです。
契約締結時に支払われる内金が手付金と同じ意味を持つかどうかは、当事者間の契約によって異なります。また、内金は手付金と異なり、金額が代金の3分の1とか2分の1など、大きな額になるケースが多いようです。
売主
売主とは、不動産取引においては、土地や建物などの不動産を売る個人または法人をいいます。購入者にとっては、売買契約を結ぶ相手です。
新築マンションや開発分譲地、建売住宅などでは、デベロッパーや不動産会社などの法人が売主となっているのが一般的です。その場合には、売主または代理会社は宅地建物取引業者であり、取引に際しては、手付金の保全義務やクーリングオフの制度などで消費者が守られています。また、仲介手数料も発生しません。
一方、中古物件では、売主は個人のケースが多くなります。その場合は、一般的に不動産会社が「媒介」することになり、仲介手数料が発生します。
まれに、登記上の所有者と売主が異なる場合、所有者の代理人が売主になっている場合、売買契約に売主ではなく代理の人が立ち会う場合などがあります。そのような例外的なケースでは、契約の前に本人確認や委任状の確認が重要となります。