ユニバーサルデザイン
ゆにばーさるでざいん
ユニバーサルデザインとは、バリアフリーを発展させた、だれにでもやさしいデザインです。
ユニバーサルデザインとは、だれもが使いやすいデザインです。障害と向き合う
バリアフリーの考え方を一歩進めたもので、障害の有無や年齢差などを超えて、すべての人にとって心地よいデザインをめざすものです。
この考え方を提唱したロン・メイス博士によると、7つの原則が提案されています。「公平に使用できること」「使用時の自由度・柔軟性が高いこと」「使い方がシンプルなこと」「説明や情報が分かりやすいこと」「安全に使用できること」「少ない力で使用でき、長く使っても疲れにくいこと」「ラクに使える広さや大きさがあること」の7原則で、世界中の工業デザインなどで取り入れられています。
ユニバーサルデザインの考え方は、住まいにおいて、
バリアフリー性、安全性、使い勝手、持続性、自然環境との調和など、多方面で生かされています。子どもからお年寄りまで、住みやすい住環境として、階段の手すりやホームエレベーター、段差の解消、腰かけられる段差、見やすい
照明、開け閉めしやすい
引き戸、室内温度差の緩和、車イスで動きやすい造りなど、さまざまな配慮がなされます。
ユニバーサルデザインは、
バリアフリーを追求していくと、だれにでもやさしいデザインに到達するというのが特徴です。
バリアフリー
バリアフリーとは、障壁をとりのぞくことです。障害のある人や高齢者が普通の社会生活をするうえで、支障となる物理的・精神的障壁を取り除こうという考え方です。
建物におけるバリアフリーとは、段差の解消や出入口や廊下の幅を広げるなど、高齢者や車イスでの生活がしやすくなるため配慮がなされます。
具体的には、玄関のスロープの設置、玄関・廊下などの段差の解消、手すりの設置、車イスで使用できるトイレ、介護しやすい浴室、照明やコンセント位置の工夫、車イスで作業できるキッチン、トイレや洗面室・浴室の暖房によるヒートショックの防止、非常連絡装置の設置などがあります。
なお、公共性の高い建築物については、2013年に施行されたバリアフリー法の対象となります。バリアフリー化の義務や努力義務が定められ、認定を受けると補助や税制の優遇が受けられます。
引き戸
引き戸とは、レール上を往復して開閉する戸のことです。
溝やレールに沿って左右に動かすことで、戸を開閉させます。引き戸には、片方だけに引く「片引き戸」、両方に引き分ける「両引き戸」、壁に引き込む「引き込み戸」、2本以上のレール上を左右に移動させて開閉できる「引き違い戸」などがあります。
引き戸の代表的な物は障子や襖で、和風建築では玄関や窓、雨戸、室内扉、収納扉などに採用されてきました。ドアに比べて、扉の前後にスペースが必要ないのが利点ですが、気密性や遮音性、独立性などの点から室内扉はドアが主流となっていました。しかし最近では、遮音性・気密性の優れた引き戸も登場し、省スペース性や開閉しやすいバリアフリー性などから、マンションなどでも引き戸を積極的に採用する例も増えています。
照明
照明とは、日本においては室内全体を照らす直接照明が主流で、「部屋を明るくする」役割とされてきました。また、1室1照明で、おもに蛍光灯など白熱灯が使用されます。しかし、最近では、くつろぎやリラックス、落ち着きなど、室内の雰囲気を演出する上で、生活シーンに合わせた照明器具の使い方が提唱されています。
照明によって室内の雰囲気は大きく違ってきます。活動的な時間とくつろぎの時間、手元がよく見える明かり、温もり感、開放感など、さまざまなシーンに応じて使い分けるには、1室に複数の照明器具を使用するのがポイントとなります。
照明器具の種類には、シーリング(天井に取り付け、部屋全体を均一に照らす)、シャンデリア(天井から下げる装飾性の高い照明。天井直付けタイプもあり。高い天井向き)、ブラケット(壁面や柱に取り付ける補助照明。空間の広がりを演出)、スポットライト(特定の物を照らし、置物などを強調できる)、ペンダント(吊り下げ型照明。下部だけ照らすものと、部屋全体を照らすものがある)、ダウンライト(天井に埋め込まれる照明で、調光機能の付いたものもあり、多彩な使い方が可能)、フットライト(廊下や階段の足元を照らす)、スタンド(床やテーブルに置いて使う照明)などがあります。
それぞれの特徴が分かると、明かりの楽しみ方も広がります。