基礎
きそ
基礎とは、建物を支える最下部の構造のことです。
基礎とは、建物の最下部にあり、上物の荷重を地盤に伝える構造です。建物を安全に支えるために、極めて重要なものです。
基礎の種類には、
布基礎(連続フーチング基礎)、
ベタ基礎、
杭基礎などがあります。
布基礎は壁面に沿ってコンクリート構造が連続する形状の基礎です。「布」とは、水平の意味があり、「フーチング」とは断面が逆T字型の底が広がった基礎底盤で、
布基礎では床下の地面は土のままとなります。これに対して
ベタ基礎は、建物の底全体を
鉄筋入りのコンクリートで固める構造です。かつては、木造在来工法では
布基礎が、
2X4工法や
プレハブ工法では
ベタ基礎が一般的でしたが、最近では在来工法でも
ベタ基礎を採用する例が多いようです。
寺社や古民家など、日本の伝統的な建築物は、1本ずつの
柱単独に設けられる
独立基礎(独立フーチング基礎)が用いられてきました。固い支持基盤まで杭を打ち込む
杭基礎などの方法も取られます。
杭基礎
杭基礎とは、基礎の一つで、地中に杭を打ち込んで建物を支えます。杭基礎には、摩擦杭と支持杭があります。数m程度の杭をたくさん打って、杭と地盤の摩擦で建物を支えるのが摩擦杭で、比較的安定した地盤や4階建て程度までの小規模な建物の場合に採用されます。支持杭は、支持層となる固い地盤まで杭を打ち込む方法で、軟弱基盤やマンションなどの重量のある建築物で採用されます。
杭には、鋼管やコンクリート杭、合成杭などの種類があります。杭を打ち込む工法には、既製杭工法(工場生産の杭を打ち込むもの)と、場所打ち杭工法(掘削したボーリング孔にコンクリートを流し込む方法)があります。
2X4工法
2X4工法とは、北米で開発された工法で、建物を四方の壁と床、天井の6面で支える工法です。規格化された構造用製材の枠組みに、構造用合板のパネルで壁・床・天井を構成します。枠組壁工法とも呼ばれます。多く用いられる製材が2インチX4インチであることから、2X4工法と呼ばれます。中心となる規格材には、他に2X6材、2X8材、2X10材、2X12材、4X4材などがあり、2X6材を多く使用するものは2X6工法とも呼ばれます。
2X4工法は、面と線により6面体で建物を支えるので、耐久性、耐震性、断熱性に優れています。その半面、壁が多く、窓など開口部が制限されます。また、資材が工場生産された規格品であるため、ローコストで安定した品質が確保され、工期も比較的短いという利点があります。
鉄筋
鉄筋とは、鉄筋コンクリート造の建築物に使用される構造材です。鉄筋コンクリートは鉄筋とコンクリートが一体となったもので、直系1~3cm程度の鉄筋を針金で縛るなどの方法で格子状に組み合わせ、コンクリートの中に埋め込み、引張力に弱いコンクリートを補強します。
鉄筋は圧縮には弱く、引張に強い性質があり、コンクリートは圧縮に強く、引張に弱い性質があり、両者の弱点を補い合うことで高い強度を獲得します。また、鉄とコンクリートは付着性がよく、コンクリート中の鉄筋はサビにくく耐久性にも優れます。
鉄筋にはその形状から、断面が丸い丸鋼と、コンクリートとの付着をよくするために表面に突起などの付いた異形棒鋼の2種類があります。また、鉄筋同士をつなぎ合わせる方法は、針金を巻いて縛る重ね継手と呼ばれる方法のほか、金物やネジでジョイントする機械式継手などがあります。
布基礎
布基礎とは、木造住宅の基礎として一般的に採用されてきた基礎です。外壁や間仕切り壁に沿って、あるいはトイレや浴室の周りなどに、連続して帯状の基礎が設けられます。連続フーチング基礎とも呼ばれます。
布基礎の「布」とは、水平を意味し、断面が逆T字型になった鉄筋コンクリートが水平に連続しているものです。フーチングとは、逆T字型の底の部分で、建物の荷重を分散して地面に伝えます。軟弱地盤では、フーチングの幅を広げ、フーチング底辺の深さを深くすることで対応します。
最近では、布基礎よりベタ基礎のほうが耐震性に優れているといわれてベタ基礎の採用が増えていますが、安定した地盤であれば布基礎で十分強度を確保できます。
柱
柱とは、建物の軸組みで、土台に対して垂直に立てて、屋根や床の荷重を土台や基礎に伝えるものです。木造軸組工法やラーメン構造では、梁などとともに建物を支える最も重要な部材です。
柱の太さは、柱の位置や部屋の大きさ、支える重さによって決めます。木造2階建て以上の場合には、土台から軒まで通った継ぎ目のない「通し柱」が建物の四隅に使われます。「通し柱」は、上下階を構造的に一体化させて耐震性を高めるために重要なものです。各階ごとに梁や胴差しなどで区切られた柱を、「管柱(くだばしら)」といいます。「管柱」も各階の荷重を受ける構造体です。このほか、柱と柱の間に壁の補強のために入れる柱を「間柱(まばしら)」と呼びます。また、壁に取り付けた装飾用の柱を「付け柱」といいます。
ベタ基礎
ベタ基礎とは、建物を支える基礎構造の一つで、建物の底全体をコンクリートで固める構造です。やや軟弱な地盤や敷地全体で地耐力が安定した地盤に適した基礎とされています。
ベタ基礎は、地面全面に防湿シートを敷き、その上に鉄筋を縦横に配筋します。間取りや地盤の状況によっては、鉄筋の太さや間隔を調整します。ベタ基礎も布基礎と同様に、建物の外周部と耐力壁が通っている部分は立ち上がり部分とします。配筋の上からコンクリートを打ち込んで底板とし、立ち上がり部分と一体化させて強固に接続します。
ベタ基礎は布基礎に比べて不同沈下が起きにくいと考えられていますが、地盤によって適切な基礎は異なってきます。地盤調査に基づいて、地耐力や地質に合った基礎を選ぶことが重要です。
独立基礎
独立基礎とは、1本ずつの柱の位置に、その柱だけを支えるように単独で設けられた基礎です。独立した柱の下で、荷重を支えるものです。
基礎の部分がコンクリートで固めた直方体、四角錐など底が広がった形状(フーチング)をしており、独立フーチング基礎とも呼ばれます。地盤状況や建物の構造によって、幅や厚さを変える必要があります。独立基礎の採用は限定されており、強固な地盤で、荷重の大きくない柱などで、傾斜地に一戸建てを建てる場合やデッキの基礎などに使われます。
なお、古民家や神社仏閣など日本の伝統的な木造建築物では、基礎と柱を固定させない独立基礎が長く用いられてきました。石の上に直接柱を立てる基礎を玉石(たまいし)基礎といい、玉石基礎による工法を「石場建て工法」といいます。この基礎は、地震などの大きな揺れがあった場合には、基礎から柱が離れることで建物の倒壊を防ぐものです。ただし、ずれた柱は、建物を曳くことで戻さなければなりません。また、この工法は熟練を要するため、施工できる職人が限られています。加えて、建築基準法では、木造軸組み平屋建ての延べ床面積50m2以下の建物でなければ、石場建て工法は認められていません。
プレハブ工法
プレハブ工法とは、Prefabricated building(house)の訳で、建物の部材をあらかじめ工場で製作し、現場で組み立てる工法です。
プレハブ工法は、使用する主要部材によって、「木質系プレハブ工法」「鉄骨系プレハブ工法」「鉄骨ALc工法」「コンクリート系プレハブ工法」「ユニット系プレハブ工法」に分類されます。それぞれに特徴があり、メーカーによって特異な工法があり、独自技術が開発されています。
部材を工場生産するため、製品や部材の品質が安定しており、工期も短くすみます。