所有権移転登記
しょゆうけんいてんとうき
所有権移転登記とは、所有権が移転したときに行う登記です。
所有権移転登記とは、売買や相続、贈与などで、土地や建物の
所有権が移転したときに行う登記です。登記記録に記録されることで、第三者に対抗力をもつことができます。
所有権移転登記の申請には、売買による場合は、
売主と買主連名の登記申請書を提出します。添付書類は、売買契約書の写し、
売主の権利証、
売主の
印鑑証明書、買主の住民票、
代理人が申請する場合(司法書士等)は委任状などが必要です。相続による場合は、戸籍謄本や
遺産分割協議書などが必要となります。
なお、本登記の際には、不動産の価額に応じて
登録免許税がかかります。
印鑑証明
印鑑証明とは、届出の印鑑と同一であることを証明するものです。自分だけの印鑑であることを証明します。
印鑑登録は、個人の場合には住所のある市区町村に届出ます。印鑑登録できる印鑑には一定の制限があり、「すでに他の人が登録しているもの」「不鮮明なもの」「一部が欠けているもの」「8mm四方を下回るもの」「25mm四方に収まらないもの」「ゴム印など変形しやすいもの」などは登録できません。また、印鑑証明書は登録と同時に発行してもらえます。印鑑登録された印鑑は「実印」として使用できます。それ以外のものは、「認印」と呼ばれ、正式な文書などでは使用しません。
不動産の売買契約や車などの購入、住宅ローンの契約、不動産登記などには、印鑑証明書が必要になります。印鑑証明書を添付することで、その印鑑が本人のものに間違いないことを証明します。
登録免許税
登録免許税とは、不動産の登記や住宅ローンの抵当権設定登記にかかる税金です。
不動産に関連するおもな登録免許税は、所有権の保存登記(建物を建てたときに行う)、所有権の移転登記(土地・建物の売買、相続、贈与による所有権の移転)、抵当権設定登記(住宅ローンを借りるときに、抵当権を設定する)があります。税額は、「課税標準額」に対して所有権の保存登記は0.4%、所有権の移転登記は売買によるものが2%、相続によるものが0.4%、贈与によるものが2%となっています。抵当権の設定登記では、債権額(借入額)の0.4%となります。ただし、住宅用家屋は一定の条件を満たす場合に税率の軽減措置を受けられます。
なお、不動産購入に際して、不動産登記手続きは司法書士に代行してもらうのが一般的です。
遺産分割
遺産分割とは、亡くなった人(被相続人)の全ての財産(権利と義務)を、それぞれの相続人に分配する手続きをいいます。
遺産分割は、遺言がある場合には、その指示に従って分配します。遺言がない場合や、あっても遺言に含まれていない財産がある場合には、相続人全員の話し合いで決めます。この協議によって合意した内容を遺産分割協議書といい、相続人全員の合意があれば、必ずしも遺言や法定相続分に従う必要はありません。遺産分割協議は、相続人全員の参加が原則で、被相続人の戸籍をくまなく調べて相続人を確定しなければなりません。行方不明の人がいる場合には、家庭裁判所の許可などの手続きが必要となります。協議で話し合いがつかない場合には、家庭裁判所による調停・審判を受けることとなります。
分配方法には、現物をそのまま分ける現物分配、不動産など遺産の一部または全部を売却して分ける換価分配、遺産の一部または全部を1人の相続人が取得して、その代わりに他の相続人に代償金を支払う代償分配などがあります。
所有権
所有権とは、特定の物を自由に使用、収益および処分できる権利です。所有権を持つ人は、その所有物に対して独占的に支配できます。所有権は時効によって消滅することはありません。
ただし、自由にできる権利は、法令上の制限の範囲内です。また、公共の福祉に反する権利は認められていないため、一定の制限を受けます。
また、所有権を有する物件について、所有者以外の人が抵当権や借地権を設定している場合には、その制限を受けます。
代理
代理とは、取引態様の一つで、不動産取引において、売主や貸主に代わって販売活動や募集活動を行い、買主や借主と契約を行うものです。代理人または代理会社は売主や貸主との代理契約に基づいて営業活動を行います。新築マンションの販売などでは、売主の関連会社などが「販売代理」となって、広告、販売、契約までの一連の販売活動を行うことが少なくありません。買主や借主は売主や貸主に代わって代理と契約を結びます。また、代理との間で結んだ契約内容は、売主または貸主と結ぶ場合と法的には同等に扱われます。なお、取引態様が代理である場合には、仲介手数料がかからないのが一般的です。
売主
売主とは、不動産取引においては、土地や建物などの不動産を売る個人または法人をいいます。購入者にとっては、売買契約を結ぶ相手です。
新築マンションや開発分譲地、建売住宅などでは、デベロッパーや不動産会社などの法人が売主となっているのが一般的です。その場合には、売主または代理会社は宅地建物取引業者であり、取引に際しては、手付金の保全義務やクーリングオフの制度などで消費者が守られています。また、仲介手数料も発生しません。
一方、中古物件では、売主は個人のケースが多くなります。その場合は、一般的に不動産会社が「媒介」することになり、仲介手数料が発生します。
まれに、登記上の所有者と売主が異なる場合、所有者の代理人が売主になっている場合、売買契約に売主ではなく代理の人が立ち会う場合などがあります。そのような例外的なケースでは、契約の前に本人確認や委任状の確認が重要となります。