柱
はしら
柱とは、垂直に立てて建物を支える部材です。
柱とは、建物の軸組みで、土台に対して垂直に立てて、
屋根や床の荷重を土台や
基礎に伝えるものです。
木造軸組工法や
ラーメン構造では、
梁などとともに建物を支える最も重要な部材です。
柱の太さは、柱の位置や部屋の大きさ、支える重さによって決めます。木造2階建て以上の場合には、土台から軒まで通った継ぎ目のない「
通し柱」が建物の四隅に使われます。「
通し柱」は、上下階を構造的に一体化させて耐震性を高めるために重要なものです。各階ごとに
梁や胴差しなどで区切られた柱を、「管柱(くだばしら)」といいます。「管柱」も各階の荷重を受ける構造体です。このほか、柱と柱の間に壁の補強のために入れる柱を「間柱(まばしら)」と呼びます。また、壁に取り付けた装飾用の柱を「付け柱」といいます。
ラーメン構造
ラーメン構造とは、建物を柱と梁で支える躯体構造のことです。柱や梁などの各部材が接点で剛接合(ごうせつごう)されています。剛接合は部材の接合点の角度が外力を受けても変化しない接合方法で、地震や風圧などの外力が加わっても、建物全体でしなやかに力を吸収します。
ラーメンはドイツ語で「枠」を意味します。ラーメン構造は柱と梁で支えるため、筋交いや耐力壁が必要なく、広い空間を作ることが可能です。鉄筋コンクリート造や鉄骨造が一般的で、マンションや高層ビルでは、低層から高層まで広範に採用されています。耐震性を維持しつつ仕切りのない広い空間を実現したり、ひとまわり大きい開口部が取れるなど、空間の自由度が高いのが特徴で、最近では戸建て住宅などにも採用するケースが見られます。
基礎
基礎とは、建物の最下部にあり、上物の荷重を地盤に伝える構造です。建物を安全に支えるために、極めて重要なものです。
基礎の種類には、布基礎(連続フーチング基礎)、ベタ基礎、杭基礎などがあります。布基礎は壁面に沿ってコンクリート構造が連続する形状の基礎です。「布」とは、水平の意味があり、「フーチング」とは断面が逆T字型の底が広がった基礎底盤で、布基礎では床下の地面は土のままとなります。これに対してベタ基礎は、建物の底全体を鉄筋入りのコンクリートで固める構造です。かつては、木造在来工法では布基礎が、2X4工法やプレハブ工法ではベタ基礎が一般的でしたが、最近では在来工法でもベタ基礎を採用する例が多いようです。
寺社や古民家など、日本の伝統的な建築物は、1本ずつの柱単独に設けられる独立基礎(独立フーチング基礎)が用いられてきました。固い支持基盤まで杭を打ち込む杭基礎などの方法も取られます。
梁
梁とは、建築物の骨組みのなかで、建物に対して水平方向に渡し、屋根や床など建物の上からの荷重を柱に伝えて建物を支える部材をいいます。柱と連結して支える梁を「大梁」、柱に直接つながっていない梁を「小梁」といいます。元来は、屋根の棟木(むなぎ)に対して直角に渡したものを梁と呼び、水平に渡したものは桁(けた)と呼んでいました。そのため、棟木と水平方向の建物の奥行きを梁方向、直角に交わる方向を桁方向といいます。また、屋根を支える梁を小屋梁(こやばり)、床を支える梁を床梁(ゆかばり)と呼びます。
木造建築では、梁には松や米松、杉などが使われます。また、「現し」といって、梁を露出させて意匠を施すものもあります。
木造軸組工法
木造軸組工法とは、木材の柱、梁、土台、筋交いなど軸を組み立てて建物を支える工法です。古来日本に伝わる高い建築技術で、「木造在来工法」「在来工法」「木造軸組」などと呼ばれます。
その特徴は、柱や梁などの線で支えるため、間取りの自由度が高く、広い開口部がつくれることです。また、増改築なども容易で、日本における木造建築の主流といえる工法です。
ただし、職人の技術水準や経験などによって施工レベルに差が出やすく、熟練を要する工法でもあります。使用する木材の太さや質、材と材の接合技術などによって、地震や台風にも耐える丈夫さが異なってきます。近年では、使用する木材を規格化したり、材の接合部に多様な金具を用いて安定させるなどの工夫が施され、施工者の技能による品質のバラツキを防ぐ方法に進んでいます。
屋根
屋根とは、風雨や日射から建物を守るために、建築物を覆うように設けられた構造物です。気候や風土によって特徴があり、形状や屋根材の種類もさまざまです。
屋根の形状および屋根材を決めるうえで、基本として求められるのが、耐震性、防水性、防火性、耐久性、断熱性などです。特に木造住宅の場合には、屋根材の重量によって、耐震性を確保するために構造上、壁の量を増やす必要などもあります。また、素材によって雨漏りを起こさないための屋根の勾配も規定されます。
屋根の形状には、切妻(きりづま)、寄棟(よせむね)、陸屋根(りくやね)、片流れ(かたながれ)、入母屋(いりもや)、方形(ほうぎょう)、鋸屋根(のこぎりやね)、バタフライなどがあります。
屋根材には、瓦などの粘土系、セメントなどを加工した化粧スレート、石を板状にした天然スレート、金属系のガルバリウム鋼板、銅板などがあります。
通し柱
通し柱とは、木造の2階建て以上の建物で、土台から軒まで通った継ぎ目のない1本柱をいいます。建登せ柱(たてのぼせばしら)とも呼びます。
通し柱は、1階と2階、あるいは3階までをつないで、建物の構造を一体化するもので、耐震性や耐久性を高めます。建築基準法では、建物の角に用いる隅柱(すみばしら)や、隅柱に準ずる柱を通し柱にすることとなっています。通し柱を用いないで、各階ごとを支える管柱(くだばしら)をつないで用いる場合には、その継手部分を補強することが規定されています。
必ずしも通し柱を用いなければならないわけではありませんが、通し柱の太さや用いる数によって、耐震性や耐久性は少なからず影響を受けるといわれています。一般的には、通し柱には4寸柱(120X120mm)が使用されます。構造的に重要な数ヶ所に4寸柱を用いて、それ以外の通し柱は120X105mmのものを用いる場合もあります。
ただし、建物の強度は通し柱だけでなく、構造や工法によっても異なります。