天袋とは、部屋の上部や天井に接して設けられた戸棚で、
床の間や和室の押し入れの上部などに設えられています。
もともとは、書院造りで床脇の上部に設けられた袋戸棚のことで、下部に設けられたものを地袋(じぶくろ)といいます。天袋には、小さな襖を用いたり、栗や桐材などを用いたり、木目の美しい化粧板を張ったりと、趣向をこらしたものもあります。
天袋は高い位置にあるので、日常使いの物をしまうには不向きですが、奥行きがあるので、季節の飾り物や思い出の品などをしまっておくのに重宝します。
床の間
床の間とは、和室の設えで床より一段高くなった座敷飾りです。
床の間には、壁に掛け軸や絵画をかけ、その下に香炉や花瓶、生け花などを飾ります。床の間は、床柱(とこばしら)、床框(とこがまち)、落し掛け、床板・床畳などで構成されます。
床の間は格式や構えによって、「真」「行」「草」に大別されます。書道の楷書・行書・草書に似た流れで、「真」は格調高い角柱を用いた書院造りの本床(ほんどこ)です。「真」の床の間には、床を中心に、縁側に付け書院を設け、反対の下座側には床脇(とこわき)と呼ばれる違い棚などを設置した空間が設けられます。「行」や「草」は格調よりも風情や雅を求めるもので、床柱に丸太を使ったり、皮の付いた自然木を用いるなど、味わいのある空間を表現します。