上り框
あがりかまち
上り框とは、玄関などで土間と床の段差部に渡した横木です。
上り框とは、玄関などの入り口部分で、靴を置く
土間と廊下や玄関ホールの床の段差がある部分に、高い方の床に取り付ける横木のことです。
かつての日本家屋は、玄関
土間と
床の間に、20~40cm程度の段差があるのが一般的でした。玄関で靴を脱ぎ履きし、人が出入りを繰り返すので、上り口には強度があって見た目も美しい木材などが用いられることが多かったようです。これを上り框といい、木材のほか、御影石などの石材や
人造大理石なども使用されます。
しかし最近では、車イスでもスムーズに移動できるように
バリアフリー化を進め、段差が小さくなる傾向にあります。それだけ上り框も小さくなり、目立たないものになってきました。中には段差をなくしたものもあり、上り框のない玄関もあります。
上り框は、そこに座って靴を脱ぎ履きすることもでき、高齢者や子どもにとっては重宝することもあります。上り框のないフラットフロアでは、ベンチなどを設置する例もあります。
床の間
床の間とは、和室の設えで床より一段高くなった座敷飾りです。
床の間には、壁に掛け軸や絵画をかけ、その下に香炉や花瓶、生け花などを飾ります。床の間は、床柱(とこばしら)、床框(とこがまち)、落し掛け、床板・床畳などで構成されます。
床の間は格式や構えによって、「真」「行」「草」に大別されます。書道の楷書・行書・草書に似た流れで、「真」は格調高い角柱を用いた書院造りの本床(ほんどこ)です。「真」の床の間には、床を中心に、縁側に付け書院を設け、反対の下座側には床脇(とこわき)と呼ばれる違い棚などを設置した空間が設けられます。「行」や「草」は格調よりも風情や雅を求めるもので、床柱に丸太を使ったり、皮の付いた自然木を用いるなど、味わいのある空間を表現します。
バリアフリー
バリアフリーとは、障壁をとりのぞくことです。障害のある人や高齢者が普通の社会生活をするうえで、支障となる物理的・精神的障壁を取り除こうという考え方です。
建物におけるバリアフリーとは、段差の解消や出入口や廊下の幅を広げるなど、高齢者や車イスでの生活がしやすくなるため配慮がなされます。
具体的には、玄関のスロープの設置、玄関・廊下などの段差の解消、手すりの設置、車イスで使用できるトイレ、介護しやすい浴室、照明やコンセント位置の工夫、車イスで作業できるキッチン、トイレや洗面室・浴室の暖房によるヒートショックの防止、非常連絡装置の設置などがあります。
なお、公共性の高い建築物については、2013年に施行されたバリアフリー法の対象となります。バリアフリー化の義務や努力義務が定められ、認定を受けると補助や税制の優遇が受けられます。
人造大理石
人造大理石とは、大理石や石灰石などの天然石を粉砕し、その砕石をセメントや樹脂などで固めたものです。テラゾー(terrazzo)とも呼ばれます。人工素材の人工大理石とは、元々は別のものですが、最近では人工大理石のことも人造大理石と呼ぶことがあります。
人造大理石は、使用する石材によって色調や風合いが異なります。通常は砕石と同色の顔料を加え、セメントや樹脂で固めます。大理石よりも低価格で、摩耗に強く、大理石の代用として、床材や壁、テーブル材などに使用されます。
土間
土間とは、玄関などにあって、地面と同じ高さで床材を敷いていないところです。屋外と屋内の中間的な位置にあり、日本の伝統的な家屋では台所や納屋は土間とされていました。
土間は、古くは、土に石炭・ニガリなどを混ぜて叩いて固めたもので、三和土(たたき)とも言われていました。土足で作業する場所で、かつての民家では生業の重要な作業空間でした。
現在では、土間はコンクリートや珪藻土、タイル、石などで仕上げられ、和の趣を取り入れたオシャレな空間として、自由な視点で採用されているようです。