資産運用を始めるなら不動産投資と株式投資どっちがいい?

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この記事の監修者

吉崎 誠二
吉崎 誠二

不動産エコノミスト/社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

資産運用を始めるなら不動産投資と株式投資どっちがいい?

資産運用を検討中の方に、株式投資と不動産投資を例に挙げ、それぞれの魅力とリスク、資産運用の必要性についてご説明します。

この記事のポイント
  • 株式投資は銘柄によって数万円からスタートすることが可能ですが、不動産投資は数千万円以上の初期費用がかかることも。
  • 不動産投資はリスクの見通しが立てやすいため、リスク対策を講じやすい資産運用の方法といえます。
  • 資産運用の方法はさまざま。知識を身に付けながら自分に合った方法を探すことが大切です。

目次

資産運用に関心がある人は増えている?

数年前に話題となった「リタイア後2000万円問題」などによる老後不安、諸外国の紛争による社会情勢不安などを契機に資産運用に関心を持った人も多いのではないでしょうか?

「野村総合研究所」の調査によると、「日本人の証券保有は長年にわたって大きな進展がみられなかったが、ここ数年で変化し、本格的に投資の裾野が拡大していることが確認された。」とまとめられています。

同調査によると、投資している人の割合は2015年以降増加しており、年齢階層別にみると、とくに若年層の変化が著しくなっています。

また、投資している人の割合が増えているのと同時に、投資はしていないが興味はある人の割合も増えており、この傾向はとくに若年層で顕著となっています。そして、今後はとくに30~39歳を中心に投資している人の割合は増加していくことが予想される、としています。

資産運用で利益を得られる仕組みとは

今後も益々、関心が高まっていくことが予想される資産運用。運用を成功させるためには、利益を得られる仕組みを知り、自分にあった資産運用の方法を選んでいくことが大切です。

投資における利益の種類

投資におけるリターン(=利益)の種類は、以下の「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」の2種類に分けられます。

インカムゲイン

インカムゲインとは、資産の保有により得られる利益を指します。具体的には株式投資や投資信託においては配当金、不動産投資においては家賃収入がインカムゲインにあたります。

インカムゲインのメリットは、安定的な利益を得られる点にあります。が、下記キャピタルゲインのように大きくリターンを求められない点はデメリットといえます。

キャピタルゲイン

キャピタルゲインとは、保有している資産の売却により得られる利益を指します。具体的には株券や投資信託、不動産等での売却益がキャピタルゲインにあたります。

キャピタルゲインのメリットは、短期間で大きなリターンを得られる可能性にありますが、資産価値が大きく下落する可能性もあります。

資産の増え方

資産の増え方は、単利と複利によって異なります。検討している資産運用の方法が、どちらにあたるのかを確認しておきましょう。

単利

単利は元本だけに利息が付きます。資産運用で得られた配当や利息は元本に組み込まれないため、常に同じ元本をもとに利息が決まります。

単利の計算式は、「元本×金利」です。

複利

複利は、元本と利息の合計額に、さらに利息が付きます。元本に資産運用で得られた利息が組み込まれるため、利息が付くたびに元本が増えていきます。その結果、得られる利息の金額も上がっていきます。 

複利の計算式は、「(元本+運用で得られた利息)×金利」が繰り返す形となります。

複利効果を活かした資産運用

当然のことながら、単利よりも複利の方が資産の増え方は大きくなります。複利の効果は、得られた利益を再投資することで得られます。複利の仕組みを活用し、利益を元本に組み入れて資産運用を行うことで、資産をより増やしていくことができます。

リスクとリターンの関係

リスクとリターンの関係は、表裏一体といえます。リスクをどれくらい許容できるかを把握した上で、資産運用の方法を選択しましょう。

ハイリスク・ハイリターン

得られる利益(リターン)が大きく見込める一方で、損失(リスク)も大きい可能性がある資産運用の方法です。
具体例株式投資(小型株)、FXなど

ローリスク・ローリターン

得られる利益(リターン)は小さいものの、損失(リスク)も小さい資産運用の方法です。
具体例預貯金、債券投資など

ミドルリスク・ミドルリターン

「ハイリスク・ハイリターン」と「ローリスク・ローリターン」の中間的な位置付けの資産運用の方法です。
具体例不動産投資、投資信託など

投資の王道、株式投資と不動産投資を比較

資産運用の方法として、代表的な投資である、株式投資と不動産投資を比較して、それぞれの特徴やメリット・デメリットについてご説明します。

初期費用

株式投資積立投資や1株購入なら少額からの投資も可能。銘柄によっては、単位株でも数万円から購入できる場合もある。
不動産投資アパートなどの建物の取得に数千万円以上の初期費用がかかる可能性がある。ただし、ワンルームマンション投資や中古物件を取得する場合は費用を抑えることもできる。
株式投資は少額からの投資も可能ですが、1株あたり高い株式もあり、一般的な購入単位である100株を購入するのに数百万円かかる場合もあります。

証券会社によっては、1株単位で購入できたり、積立投資ができたりするサービスもありますので、あまり費用をかけずに始めることも可能です。

不動産投資は、ワンルームマンション投資や中古物件を取得するにしても少なくとも数百万円以上の初期費用が必要になるため、株式投資に比較すると必要となる初期費用は大きくなります。

ただし、不動産投資の場合、不動産投資ローンを活用するのが一般的ですので、必ずしも多額のお金を現預金で用意する必要はありません。

流動性

株式投資高い
不動産投資低い
流動性とは、大まかにいうと、保有している資産を売却して現金化できる自由度をいいます。株式の場合、上場している銘柄ですと、価格にこだわらなければ即時に売却きますので、不動産投資に比べると流動性が高いと言えます。ただし、不動産投資でも人気のあるエリアに立地する賃貸物件や稼働率の高い賃貸物件であれば、流動性が高い場合もあります。

リスク

株式投資キャピタルゲイン:高い
インカムゲイン:低い
不動産投資低い

リスクとは、「危険」ということではなく、「想定外の動き」のことをいいます。キャピタルゲインでは、見込み価格のブレであり、インカムゲインでは、想定収入(配当や賃料)のブレのことです。

吉崎 誠二
吉崎 誠二
株価は企業業績のほか、経済や社会の動きなどによって大きく値動きします。また、会社が倒産すれば株券は紙切れになってしまいます。こうした予期せぬことが起こればキャピタルゲインの目論見は、消えてしまいます。

不動産投資で家賃収入を得たり、株式投資でもインカムゲインを目的としたりという場合は、安定感という意味では、リスクは低いでしょう。

なお、不動産投資の場合、空室リスク(空室が発生したら家賃収入が得られないリスク)、老朽化リスク(建物の劣化によるメンテナンスが必要になるリスク)など特有のリスクもあります。

ただし、リスクの見通しが立てやすいため、リスク対策を講じやすい資産運用の方法ともいえます。

手間

株式投資キャピタルゲイン:多い(短期売買の場合)
インカムゲイン:少ない
不動産投資自己管理:多い/管理委託:少ない
株式投資で短期間でキャピタルゲインを狙う場合、日々株価は変動しますので、銘柄分析や株価のチェックなどに手間がかかります。なおインカムゲインを主目的とする場合は大きな手間はかかりません。

一方、不動産投資は長期間にわたって投資を行うため、運用開始前の入念な計画策定のほか、運用後の入居者管理や家賃回収などの管理の手間はかかります。

ただし、運用後の管理は不動産会社や管理会社に委託すれば、大きな手間はかかりません。

長期&収益性重視なら不動産投資がおすすめ!

複利効果は、長期投資であればあるほど大きくなります。不動産投資は長期間にわたって投資を行う資産運用の方法です。

さらに、アパートローンの活用をすれば、手元資金が少なくても投資効果を高めることができるレバレッジ効果を得られます。

じっくりと計画を立てる手間は必要ですが、老後資金確保のための長期運用&家賃収入による収益性投資を狙うなら、ミドルリスク・ミドルリターンの不動産投資は適しているといえるでしょう。
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初心者が資産運用で成功するための3つの心得

資産運用を始めようとする人に向けて、資産運用を成功させるために心に留めておきたい資産運用の心得をご紹介します。

投資の目的を明確にしよう

投資の目的は人それぞれです。目先の利益を追わず、無理のない投資をするためにも、なぜ投資をするのか、いつまでにどれくらい資産を増やす必要があるのかなど、目的を明確にしておきましょう。

目的を明確にしておくことで、投資計画の具体性を高め、適した資産運用の方法を選択できます。

長期的視点を大切にしよう

リスクとリターンは表裏一体です。そのため、短期に大きな利益を得ようとすると大きな損失が発生する可能性もあります。初心者は長期運用を念頭に置くことが望ましいと思われます。

中には、短期的な利益を得ようと考える方もおられると思いますが、あくまでも余裕資金の範囲内に留めておきましょう。無計画に目先の利益を追うばかりに、ライフプランに必要な資金が不足してしまっては本末転倒となります。

自分の資産である自覚を持とう

どの資産運用の方法を選択するにしても、自分の資産である自覚を持ち、納得してから始めましょう。そして、常に学び続ける姿勢を持ち、他人任せにしないことが大切です。

まとめ

資産運用の方法はさまざまなものがあります。そして、投資を行う目的も人それぞれです。誰かに勧められたからという他人任せの選択ではなく、何を実現するための投資なのかを明確にした上で、自分にあった資産運用の方法をじっくり吟味して選ぶといいでしょう。

資産運用でどのように利益を得られるのか?
基礎をしっかり理解してから投資を始めましょう!

この記事の監修者

吉崎 誠二
吉崎 誠二

不動産エコノミスト/社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

(株)船井総合研究所上席コンサルタント、等を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルなどを行うかたわら、ラジオNIKKEI「吉崎誠二の5時から”誠”論」などテレビ、ラジオのレギュラー番組に出演。また新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は年間多数。

著書:「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社)など11冊。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
●また、具体的なご相談事項については、各種の専門家(税理士、司法書士、弁護士等)や関係当局に個別にお問合わせください。