- サブリースは空室リスク回避のメリットがある一方、家賃減額リスクがあります。
- 「かぼちゃの馬車事件」のようにサブリース会社が倒産することも。業者選択を誤ると、とんでもないことになるので注意が必要です。
- サブリースを契約するときは保証金額、免責期間などしっかり確認するようにしましょう。
目次
不動産投資におけるサブリース契約とは
サブリース契約はメリットの方が強調されがちですが、いったいサブリース契約とはどういったものなのでしょうか。
サブリース契約とは?
借り上げた不動産業者は別の第三者(入居者)に転貸(又貸し)し、オーナーと契約した家賃よりも高い家賃で貸し出しすることになります。
オーナーにとってサブリース契約は空室の有無に関係なく家賃が入るので安心です。しかしながら、サブリース契約の賃料は実質賃料よりも1割程度は安くなり、本来の家賃をもらうことができません。
この点はよく理解しておく必要があります。
マンション投資ではサブリース契約をすすめるケースが多いのですが、不動産投資初心者としては、万一家賃が入らないとローンの返済も厳しくなるので、このサブリース契約を選ぶケースが多いものです。
サブリース契約以外にはどんな管理方法があるのか?
自主管理
これは自主管理という管理方法で、オーナー自身が賃貸管理を行うことで入居者の把握や賃料の設定など、オーナー自身の采配が可能です。サブリース契約とは異なり空室時の家賃収入はありませんが、満室であれば実質の家賃収入が得られます。
管理委託
この場合、退室があればその分の賃料は入らないので空室の場合には家賃収入は減ります。また、賃貸管理を不動産会社にお願いすれば賃料の3~5%を管理手数料として不動産会社に支払うことになります。
サブリース契約のような空室時の家賃保証はありませんが、面倒な賃貸管理だけ不動産会社に行ってもらえます。
サブリース契約が必要な場合とは?
また、物件自体に立地条件等の賃貸条件が悪い場合があれば、空室リスクを回避する意味合いからサブリース契約で運営した方が良い場合もあります。
オーナー自身が忙しい人であるとか、賃貸管理が面倒だから空室リスク回避も含めてどこかにお願いしたいという人、あるいは賃貸条件が悪く空室リスクが比較的高い場合にはサブリース契約をうまく利用しましょう。
【PR】RENOSY |
---|
不動産投資物件の管理運営は投資初心者にはややハードルが高く感じられるかもしれません。「RENOSY不動産投資」は、物件情報を独自のデータベースに蓄積し、投資価値の高い物件をAIを使って効率よく厳選し、提案してくれるサービスを提供しています。 物件購入後の管理、リノベーション相談、売却までのすべてをワンストップでサポートしてくれるのも、はじめて不動産投資に取り組む人には心強く、利用者の評判・口コミにも反映されています。 初心者だけど効率よく不動産投資を始めたい方、まずは無料の資料を確認してみませんか? |
サブリースのメリット
空室リスクの回避
管理業務からの解放
相続税対策に有効
サブリース契約では相続税評価額の算出の際の賃貸割合を100%にし、相続税効果を最大限引き出すことが可能とされています。
サブリースのデメリット(リスク)
保証家賃は相場の80~90%
賃貸需要が旺盛なエリアであれば、空室が出たとしてもすぐに埋まるのでサブリース契約をする必要はありません。そうした条件であればサブリース契約の方が家賃収入は少なくなりますのでデメリットになります。
家賃減額リスク
したがって、サブリース契約とはいえ家賃はずっと同額ではないことを熟知しておく必要があります。たとえば、2年毎に家賃が5%ずつ減額すれば収支計画は大幅に狂ってしまいます。
入居者審査ができない
サブリース会社の中には空室を抑えて家賃を確保するために、条件の悪い入居者を入れてしまうことのも充分に想定できます。
免責期間がある
サブリース会社でも入居者がすぐに見つけることができればいいのですが、入居者が見つからないというリスクヘッジをするために免責期間を設けています。
オーナーにとってはすぐに家賃をもらうのが理想ですが、サブリース契約では自主管理や管理委託とは異なりこうしたデメリットがあります。
修繕などの費用負担があり業者が選べない
いくつかの業者に相見積もりをさせて条件に見合う業者の選択はオーナーにはできないので、相場よりも高い修繕費用を請求されるケースもあります。
オーナーからの解約ができない
オーナーからサブリース契約の解約を申し出ると、賃借人からの解約は数か月前に申し出をすることで簡単に解約はできるが、賃貸人からの解約は、オーナー自身が居住するなど、正当な事由がないと解約には応じられないと言ってくるのです。これは、ある意味オーナーにとっては不利な契約とも言え、サブリース契約の大きなデメリットとなっています。
サブリース会社としては、必ずこの借地借家法を持ち出しして解約には応じられないと申し出を断ります。戸当たり月1万円程度の手数料利益があるサブリース契約は不動産業者にとっては大きな収入源であり、その契約数が減少すれば収入源が減るのでそう簡単には解約に応じてくれないのが現状です。
たとえば、大手の賃貸管理会社のサブリース契約数が1万戸あって、戸当たり1万円の手数料が入るとすれば、毎月1万戸×1万円=1億円分の手数料が入る計算になります。 不動産会社はサブリース契約による管理戸数を増やしていくメリットがあり、サブリース契約を解約させたくないわけです。
サブリース会社の倒産があり得る
この不動産会社はサブリース賃料が払えない状況になってしまい倒産しました。かぼちゃの馬車のオーナーは家賃収入を絶たれてしまったがためにローン返済もできなくなり、最悪は自己破産に追い込まれたケースも出た事件です。
この事件のようにサブリース会社が倒産してしまうことは、オーナーにとっては最悪のケースです。サブリース会社の選択を誤ると、とんでもないことになると肝に銘じておく必要があります。
いざというときに売却しにくい
たとえば、「物件を第三者に譲渡、所有権を移転する場合には第三者にその地位を承継させる」というような文言があり、承継しない場合には賃料の6か月分を違約金として賃借人(オーナー)に払う旨も掲載されています。
「原則サブリース契約は承継、承継しない場合には解約金を払え」という内容ですので、売却先がサブリース契約を承継してもいいという売り先を見つけるしかありません。したがって、サブリース契約を解約した方が売却はしやすくなります。
サブリースのトラブル事例
【トラブル事例1】サブリース会社が倒産した
ネットで不動産投資関係の専門家に相談したところ、それぞれの入居者に個別に連絡をして事情を説明し、家賃の入金はAさんに直接、支払うようにお願いしました。とりあえずは事なきを得ましたが、まさかサブリース会社が倒産するとは思ってもみなかったとのことです。
【トラブル事例2】サブリース契約を解約したが、さらにサブリース契約が存在していた。
収益も芳しくないため売却をしたいと思って、このサブリース契約の約定に基づいて解約を申し出、うまく解約できたと喜んでいましたが、次なる問題が発生したのです。
なんと転借人(実際の入居者)がまたもや不動産業者で、その不動産業者がさらに第三者に転貸していたのが発覚したのです。これは、サブリースのサブリースで、業者間ではサブサブリースの契約と言われる代物でした。
結局、実際の入居者との賃貸借契約にたどり着くまでには約1年以上かかり、しかも解約に伴う費用が賃料6か月分かかってしまったのです。これほどひどい内容とは思っていなかったBさんですが、まんまと不動産業者にカモられたわけです。
すべてのサブリース契約の解約は1年越しで、そこからようやく売却への道が開けました。
トラブルにあった場合の相談先
・サブリース契約を結んだ管理会社が経営破綻に陥ってしまう
・賃貸借契約で定めた賃料に関するトラブルが増加
・サブリース契約を結んだ会社からの一方的な契約解除
・サブリース会社の施工物件に違法性が見つかる
というような問題が頻繁にあったため、適正なサブリースを行うためにサブリース新法は施行されました。
サブリース新法では、規制対象となる勧誘者や不当勧誘の明確化や禁止される誇大広告の明確化、さらには、オーナーに説明すべき家賃減額リスク等の内容の明確化(重要事項説明)の規制が施されました。
上記のような点で法に抵触した場合、サブリース会社(特定転貸事業者)又は勧誘者に対する罰則は6月以下の懲役若しくは 50 万円以下の罰金、又はこれを併科、50 万円以下の罰金、30 万円以下の罰金などがあります。また、サブリース業者(特定転貸事業者)又は勧誘者に対する行政処分としては指示処分や業務停止命令等などがあります。
また、サブリース契約にかかる相談先としては、国土交通省管轄の各地方整備局やたとえば、各都道府県の宅建業免許窓口に相談されることをお勧めします。(東京都であれば住宅政策本部・住宅企画部・不動産業課など)
サブリース契約時のチェックポイント
サブリース契約時のチェックポイント | |
---|---|
□ | 保証金額 |
□ | 免責期間 |
□ | 契約期間 |
□ | 費用負担の割合 |
□ | 解約条件 |
□ | 会社の信頼性 |
保証金額
免責期間
契約期間
また、契約期間は長くても家賃の見直しが数年ごとにありますので、その点は注意しておきましょう。
費用負担の割合
解約条件
サブリース契約は物件の売却の際には足かせになるケースが多い ので、いずれ解約することを前提にサブリース契約を検討すべきでしょう。
会社の信頼性
サブリース以外の運用パートナー
管理委託
家賃の回収から入居者のクレーム受付、入退室の管理、入居者の募集などの業務を行ってもらえます。賃貸需要が旺盛なエリアの物件では空室期間が短いのでサブリース契約ではなく、管理委託契約で物件を運営するオーナーは多いかと思われます。
集金代行
保証会社
まとめ
また、サブリース契約はそのメリットばかりを強調されがちで、デメリットに対しては触れていない不動産会社が多いものです。ここにあげたサブリース契約のデメリットをよく理解しておけば、いざサブリース契約を勧められた際には失敗を未然に防ぐことが可能でしょう。
サブリースはメリット・デメリットを把握したうえで
契約内容の入念なチェックが必要です!
この記事の監修者
不動産投資アドバイザー(RIA)/相続診断士/貸家経営アドバイザー/住宅ローンアドバイザー
アネシスプランニング株式会社 代表取締役。住宅コンサルタント、住宅セカンドオピニオン。大手ハウスメーカーに勤務後、2006年に同社を設立。
個人住宅・賃貸住宅の建築や不動産売却・購入、ファイナンスなどのあらゆる場面において、お客様を主体とする中立的なアドバイスおよびサポートを行い、3000件以上の相談を受けている。
WEBメディアに不動産投資についてのコラムを多数寄稿。著書に「不動産投資は出口戦略が9割」「不動産投資の曲がり角 で、どうする?」(クロスメディア・パブリッシング)など。
サブリースではオーナー側が賃貸人、サブリース会社が賃借人となります。借地借家法から、賃貸借契約では賃借人の方が不利にならないような契約となっていることも忘れないようにしてください。