不動産投資の種類は大きく分けて3つ|まずはメリット・デメリットを確認しよう!

2024.03.27更新

この記事の監修者

吉崎 誠二

吉崎 誠二

不動産エコノミスト/社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

不動産投資の種類は大きく分けて3つ|まずはメリット・デメリットを確認しよう!

数ある投資手段のなかで不動産投資を検討している方に、方法や物件種類別に特徴やメリット・デメリットを詳しくご説明します。

この記事のポイント
  • 不動産投資の代表的な種別は「一棟投資」「区分投資」「戸建投資」。
  • そのほかにもさまざまな投資法があり、新築or中古、都心or地方、構造種別などの特徴も合わせて検討しましょう。
  • 初期費用や運用の手間など比較ポイントを押さえて、自分に合った投資方法を見つけることが成功の近道です。

目次

不動産投資の種類は3つ!どうやって選ぶ?

「不動産投資」とひとまとめにいっても、現物の居住系不動産投資の代表的な投資種別には、一棟投資、区分投資、戸建投資があります。そのほかにも不動産投資信託のJ-REIT(ジェイ・リート)や駐車場・トランクルーム・サ高住などの福祉施設・民泊などの運営など、不動産投資の方法はバラエティーに富みます。

それぞれの投資方法によって、必要となる費用は異なります。また、メリット・デメリットは共通している点もあれば、異なる点もあります。それぞれの不動産投資の概要をおさえ、どの不動産投資の方法が自分に適しているのかを考えてみられるとよいでしょう

ここからは、不動産投資の種類として代表的な方法である、一棟投資、区分投資、戸建投資を中心にそのほかの不動産投資の方法についても特徴をご説明します。

不動産投資の種類1:一棟投資

アパートやマンションを1棟丸ごと所有して、入居者から賃料収入を得る不動産投資の方法です。

初期費用は、敷地購入の有無、新築・中古、構造などによって異なります。自己所有の土地に、アパートを建設する場合であれば敷地面積、構造によっても異なりますが、5,000万~2億円の費用がかかることが一般的です。規模や構造などによっては、2億円以上の費用が掛かる場合もあります。

なお、利回りは条件によって大きく異なりますが、4~8%前後が目安です

一棟投資のメリット

一棟投資は、部屋数が複数戸となるため賃料収入は大きくなります。また、区分投資と比較すると空室が生じた場合の影響が低く、リスク分散が可能です

そのほか、一棟投資では共用部についても自由に運営することができるため、入居者ニーズへの対応やターゲットに合わせた設備投資なども自身のアイデアに基づいて対応することができます。

一棟投資のデメリット

一棟投資のデメリットとして、初期投資が多額である点があげられます。アパートローン(不動産投資ローン)を組んで投資を行うケースが一般的ですが、費用が高額であるため融資が受けられないケース(全額・一部)も珍しくありません

また、建物の修繕費用に関しても、外壁修繕や屋上防水工事などの大規模修繕には多額の費用が必要になります。これらの費用をすべて自身で準備しなければならないため、綿密な資金計画は必須です

どんな人に向いている?

アパートやマンションの敷地として活用できる遊休土地を所有している方、数千万円の初期投資(アパートローンの活用含む)のリスクを負える方などは、一棟投資を検討するのに向いています。

多額の費用を必要とする不動産投資の方法ですので、事業計画は専門家(不動産会社、金融機関、税理士など)も交えて、入念に考える必要があります

不動産投資の種類2:区分投資

投資用に分譲マンションの1室を所有して、入居者から賃料収入を得る不動産投資の方法です。

初期費用は、エリアや築年数、間取りおよび専有面積によって、100万円台から数千万円とさまざまです。1室から不動産投資を始めることができるので、一棟投資より初期費用を抑えることができます

利回りは条件によって異なりますが、大都市部では3~4%前後が目安です。

区分投資のメリット

区分投資は初期投資が少額であることが多く、初心者でも始めやすい点がメリットとしてあげられます。建物の管理に関しても、マンションの管理組合を経由して管理会社が行うため手間がかかりません。

また、専有部のみの所有ですので修繕する箇所が少ないことから、一棟投資と比較すると修繕費用は少なく済みます。

そのほか、区分投資は一棟投資よりも売却しやすいこともメリットと言えるでしょう

区分投資のデメリット

1部屋だけの区分投資では、入居者がいないと賃料収入が得られません。つまり、一棟投資と比較すると空室が生じた場合の影響が大きいということになります

また、物件によりますが、一棟投資よりも利回りが低くなることが多いのもデメリットの1つでしょう。そのほか、建物の共用部に関しては、ほかの所有者と共有している箇所になるため、自由に修繕や変更など行うことはできません。

どんな人に向いている?

会社に勤めながら区分投資を行っている方も多くみられます。副業として不動産投資を行いたい方には向いていると言えます。ただし、先述のとおり、空室が生じた場合の影響が大きいので、情報収集を行い、収益性の高い物件であるか否かの見極めが重要です。
【PR】RENOSY
「RENOSY」は、物件情報を独自のデータベースに蓄積し、投資価値の高い物件を選定・提案してくれるサービス。購入者アンケートによると、会社員が58%、年収500~699万円の方が36%を占めています。その背景には、本業が忙しい方でも安心して賃貸管理を任せられる充実の管理委託サービス所有物件の管理・運用が専用のアプリでスマートにチェック可能といった理由があります。

初心者だけど効率よく不動産投資を始めたい方、まずは無料の資料を確認してみませんか?

無料の資料を見てみる

※「RENOSY」へ遷移します

不動産投資の種類3:戸建投資

所有する一戸建住宅を賃貸し、入居者から賃料収入を得る不動産投資の方法です。一戸建住宅の各部屋を別々の入居者に賃貸するシェアハウスを行うケースもあります。

自己所有の土地に、一戸建住宅を建設する場合であれば敷地面積、戸数、構造によっても異なりますが、1~2,000万円の初期費用となるのが一般的でしょう

利回りは条件や立地により大きく異なります。

戸建投資のメリット

戸建投資は、一棟投資と比較すると、まとまった大きな土地を必要としません。また、入居者はアクセスよりも戸建てであることを優先していたり、生活の利便性を重視していたりするため立地の影響を受けにくい傾向があります。なお、好立地の場合は、変形地や狭小地でも入居者を確保することが可能です

戸建ては、いったん入居すると長期で住んでくれることが多い点もメリットの1つでしょう。

戸建投資のデメリット

戸建投資は、一部物件においてローンを受けにくい点がデメリットとしてあげられます。とくに築古物件の場合、耐用年数の関係でローンが通りにくくなってしまいます。

また、建物の内装や外装、設備など、修繕費用がワンルームマンションなどに比べ部屋が広い物件が多いため高額となり、すべて自身で負担しなければなりません。そのため、戸建投資の場合は、綿密な資金計画が必要になります

どんな人に向いている?

一戸建ての敷地として活用できる遊休土地を所有している方、また 既存の一戸建ての活用方法を考えている方は、戸建て投資を検討するのに向いています。

そのほかの不動産投資の種類

そのほかの不動産投資の方法として、以下のようなものがあります。

J-REIT(不動産投資信託)

有価証券投資のひとつ。一口数万円から投資を行うことができ、ファンド会社が所有する投資物件の賃料収入などから得られる利益の分配金を、投資金額に応じて得ることができます。

駐車場・バイク駐輪場

所有している土地に駐車場やバイク駐輪場を整備し、利用料金を得る不動産投資の方法。時間貸しタイプや月極タイプなどがあります

トランクルーム

所有している土地に荷物などを保管できるトランクルームを設置・賃貸して、賃料収入を得る不動産投資の方法です。数百万円からスタートすることも可能です

福祉施設

所有している土地を活用して、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などの福祉施設を運営する方法です。不動産投資という側面と、福祉施設経営の色合いが合わさり、スタッフ雇用も必要です。規制事項なども多いので入念な事業計画が求められます

民泊

新築または既存住宅を活用して、民泊(ゲストハウス)を運営する方法です。民泊はトラブルが多かったこともあり、現在は規制が厳しくなっています。また外国人の利用も考慮したわかりやすいルール作りも必要です。

そのほかの不動産投資の方法

そのほかの不動産投資の方法について、さらに詳しく知りたいという方は、以下の土地活用方法まとめの記事を参考にしてください。

中古と新築どちらがいい?

一棟投資、区分投資、戸建投資、いずれの場合でも中古物件と新築物件で悩む方は多いのではないでしょうか。ここでは、双方の特徴についてご説明いたします。

中古物件の特徴

中古物件の場合、取得費用は相対的に低くなります。また、同じような立地で、同じ規模・仕様であれば、新築物件よりも取得費用が低い中古物件の方が表面利回りは高いでしょう

ただし、物件状態によっては修繕や建て直しをしなければ入居者ニーズを満たさない場合もあります。その場合には、取得費用に加えて、まとまった修繕費用なども必要となることには注意が必要です

なお、中古物件を購入する際は、売買価格のみならず、現状の入居率や修繕履歴、修繕や建て直しの要否、さらに重要な事として修繕積立金の未払い状況など、入念に物件状況を確認するようにしましょう

新築物件の特徴

新築物件の場合、取得費用は相対的に高くなる傾向にありますが、購入後短期間に室内の修繕費用が必要になることはあまりありません。また当面、大規模修繕も必要になることはないでしょう。

また、新築物件は入居者からの人気も高く、家賃を高めに設定することが可能です。ただし、初めの入居者が退去した後は新築物件として訴求できず中古物件となるため、家賃が下がる可能性もあります
【PR】プロパティエージェント
区分投資のなかでも新築か中古か、という比較は賛否両論、投資家それぞれの目的や経済状況によっても変わってきます。独自のメソッドで土地の仕入れから商品開発、賃貸管理までをワンストップで行うプロパティエージェントでは、不動産投資に興味がある方に向けたセミナーを定期的に開催し、中古・新築の違いやリスクヘッジ法など、基礎知識から最新トレンドまでを学ぶ機会を設けています。

効率よく受講できるオンラインセミナーから、トライしてみるのもひとつ!

無料オンラインセミナーを申し込む

※プロパティ―エージェントへ遷移します

都心と地方どちらがいい?

中古物件と新築物件について前述しましたが、都心と地方ではどちらの物件を選ぶべきなのでしょうか。比較しながら見ていきましょう。

都心物件の特徴

都心物件の方が人口も多いため入居者を確保しやすく、地方物件に比べると空室リスクは低いと言えます。とはいえ、立地や築年数によっては、都心でも空室率の高い物件があるのも事実です。

不動産投資を行うエリアのニーズを把握し、物件の魅力を維持する努力や工夫はエリアを問わず行っていかなければなりません。なお、同じ規模・仕様であれば取得費用は高くなる都心物件の方が表面利回りは低くなります。

地方物件の特徴

キャッシュフローに余裕が出やすいのは、利回りの高い地方物件でしょう。また、地方物件は取得費用がおさえられるため、不動産投資初心者でも参入しやすいと言えます。

しかし、地方物件の場合は、人口減少などの影響による空室リスクに注意しなければなりません

そのほか、需要が見込めるエリアに位置しているかなど、物件購入前に自身で確認することをおすすめします。

建物構造はどれがいい?

不動産投資を行う建物について、どの構造を選択するかによっても、利回りは異なります。なぜなら、建設コストが木造→鉄骨造→RC造の順に高く、取得費用もそれに伴い高くなるからです。

また、家賃相場も構造によって異なります。不動産投資を行う物件として、取得費用と家賃相場を考慮して、利回り計算結果を比較してみるとよいでしょう。各構造の特徴、耐久年数を以下に整理しておきます。

木造

木材を構造躯体とした建築物。建築コストを低く抑えられますが、耐火および耐震性能は、ほかの構造と比べると劣ります。また、耐久年数は住宅用のもので22年と短くなっています。なお、耐久年数を超えて不動産投資を行う場合は、大規模修繕または建て替えの検討も必要になります

鉄骨造

金属材を構造躯体とした建築物。木造よりも粘り強さがあり、RC造よりも軽量でしなやかである特徴を持つ構造。耐久年数は金属材の厚さにもよりますが、3mm超4mm以下の金属材を使用した場合、住宅用で27年となっています。

RC造(鉄筋コンクリート造)

鉄筋を組んだ型枠にコンクリートを流し込んで固めたものを構造躯体とした建築物。木造、鉄骨造よりも強度が高く、高層建築物にも用いることができる構造です。そのため、耐久年数も住宅用で47年と長くなっています。ただし、建設コストは高くなります。

まとめ

不動産投資には、ご説明したようにさまざまな投資の手段があります。まずは、不動産投資の方法、それぞれの特徴を理解することが大切です。そして、ご自身の資産状況を踏まえ、どの手段で不動産投資を行うのが自分に適しているのか考えてみてはいかがでしょうか。

不動産投資の方法はさまざま。
メリット・デメリットをおさえましょう!

この記事の監修者

吉崎 誠二

吉崎 誠二

不動産エコノミスト/社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

(株)船井総合研究所上席コンサルタント、等を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルなどを行うかたわら、ラジオNIKKEI「吉崎誠二の5時から”誠”論」などテレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は年間多数。著書:「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社)など11冊。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
●また、具体的なご相談事項については、各種の専門家(税理士、司法書士、弁護士等)や関係当局に個別にお問合わせください。