賃貸 or 購入 メリット・デメリットと年代別のポイントを徹底整理

  • 公開日:
  • 2016年11月16日
賃貸 or 購入 メリット・デメリットと年代別のポイントを徹底整理
自分の住まいを「賃貸するか?」それとも「購入するか?」。
週刊誌やネット上でも熱い議論が繰り広げられて久しいテーマですが、なかなか結論づけられていないのが正直なところ。そこで両者のメリット・デメリットを整理したうえ、賃貸とマイホーム購入、どちらが良いのか考えてみます。年代別に押さえるべきポイントもあわせて紹介していきます。

そもそもどちらが得なのか?

賃貸に住み続けるか物件を購入するかを考えるときに最も気になるのは、結局どちらのほうが安く済むのかということ。

週刊誌やネットなどいろいろな媒体でそれぞれの総コストをシミュレーションした結果が公表され「購入したほうがいい」などと結論づけられている場合が多いですが、実はほとんど意味をなしません。


どちらが得とは言いにくい

賃貸と購入を比較したシミュレーションとして、このような表を見たことがある方も多いのではないでしょうか。たとえば、この設定では10万円程度の物件に住むことを仮定して総額を計算しています。

※分譲マンションを想定した参考画像となります

しかしこうした計算は仮定の話でしかありません。なぜなら住む人の人生設計や趣向により総額は簡単に変わってしまいます。たとえば何回引っ越しするか、家賃がいくらの物件に住むかなど、人によって大きな差があります。住宅ローン控除も時期により変動します。

表で示されている総額はあくまでも一例。設定次第でいくらでも書き手により情報操作できてしまいますので鵜呑みにするのは一番危険です。

情報発信者の意図も忘れないでおきましょう。
たとえばマンション販売業者であれば不動産を買ってもらった方がうれしいに決まっているのです。週刊誌やWebの分譲マンション販売の広告記事に「購入すべき」といった文言が並んでいるのはこういった事情もあります。


トータルコストは重視しないほうが良い

以下のグラフは賃貸と分譲マンション購入とのコストを比較したもの。
一般に35年でのトータルコストを比べると、借りたほうが安くなることが多いです。逆に長生きすればするほど分譲マンションを購入したほうが総じて安くなります。

しかし、賃貸を例にしても「具体的に何年賃貸に住み続ければ購入価額を上回ってしまうのか」、購入時の仮定によりまるきり話が変わってきます。そもそも50年間同じレベルの物件に住み続けるという仮定自体がナンセンス。ライフサイクルの変化によって、住む物件も変化していきます。

結果、賃貸と分譲マンション購入とでトータルコストに大きな違いはないことが多く、トータルコストを重要視してどちらかを選択してしまうのは得策ではありません。

賃貸?購入?メリット/デメリット整理

金銭面で賃貸と購入のどちらかに大きく軍配が上がるとは言えないことがわかってきました。

ではどこで判断すればいいかと言うと、賃貸・購入それぞれのメリット/デメリット次第。重視するポイントがどれだけ該当するか整理しながら見ていきましょう。


○ 賃貸のメリット
1. ライフスタイルの変化へ柔軟に対応できる
2. 設備メンテナンスの必要がない
3. まとまった初期費用がいらない


1. ライフスタイルの変化へ柔軟に対応できる

賃貸のメリットとして真っ先に思い浮かぶのがこれ。たとえば、

● 子供が増えたので部屋数を増やしたい
● 自立して子供が家から出たので部屋数を減らしたい
● 親の介護が必要になったので実家の近くに住みたい

といった場合。
部屋数の増減や場所の移動、住み替えが簡単なのが賃貸のいいところ。ライフサイクルの変化へ柔軟に対応できることが最大の魅力です。


2. 設備メンテナンスの必要がない

購入物件の場合は、経年劣化に応じて修繕などの必要が出てきますが、賃貸の場合はもちろん不要。修繕や管理などのメンテナンスを貸主側で対応してくれます。


3. まとまった初期費用がいらない

賃貸の場合、家賃とは別に敷金・礼金が数か月分、数十万単位ですが、購入となると、手付金や登記費用など合わせて数百万円単位の初期費用が必要です。


× 賃貸のデメリット
1. いかなる場合も支払い続ける必要がある
2. 壁の穴ひとつ開けるのにも許可がいる
3. 資産として残らない


1. いかなる場合も支払い続ける必要がある

物件を借り続ける限り、家賃の支払いが発生します。たとえば、収入が大幅に減る退職後にどうやって家賃を支払い続けるか?賃貸派のとても大きな課題です。


2. 壁の穴ひとつ開けるのにも許可がいる

あくまでも賃貸ですから、基本的には貸主への断りなしに物件へ手を加えることはできません。自由にリフォームすることはもちろん、壁に穴を開けることも基本的にNG。住居のカスタマイズ性は極めて低いといえるでしょう。


3. 資産として残らない

物件を購入すれば、当然自分の資産として残すことができます。一方、賃貸は資産になりません。自分の代だけでなく、子供世代のために家を残したいと思う場合はこの点を考慮する必要があります。


まとめ. 賃貸は住まいに柔軟さを求める人に向く
子供が独立した後も広々とした3LDKに住みたいというのならいざ知らず、子供が独立した後は1LDKに住み替えられる柔軟な人であれば、賃貸はコスト面でも購入派に勝るとも劣りません。生活環境の変化に、柔軟に対応でき住み替えがOKな人にこそ賃貸は向くといえるでしょう。

さて、不動産購入のメリットとデメリットはどうなっているでしょうか。
さっそく見ていきましょう。

○ 不動産購入のメリット
1. 資産として残せる
2. 賃貸にくらべて基本スペックの高い物件に住める
3. 自由に手を加えられる
4. 万一の場合、支払いの保障がある


1. 資産として残せる

物件を自分の資産として家族に残せるというのは大きなメリット。ただし、不動産の価値は少しずつ目減りしていきます。経年劣化などで購入時点よりも価値が低下することを想定しておく必要があります。


2. 賃貸にくらべてスペックの高い物件に住める

分譲住宅のほうが総じて基本スペックが高い物件に住めます。たとえば同じ家賃なら、設備やお風呂のサイズなどは分譲住宅のほうが良いことが多いです。


3. 自由に手を加えられる

内装を思いのままに変えられるのも持ち家ならではのメリット。もちろん別途費用は発生しますが、増築やリフォームなど、その時の希望にあわせて好きに手を加えていけるのはうれしいポイントといえるでしょう。


4. 万一の場合、支払いの保障がある

万一の時(たとえば突然の所属会社倒産など)、自宅を維持しながらも金融機関への相談により、支払額を軽減できないか交渉できる場合があります。

また、住宅ローンを組むタイミングで「団体信用生命保険」というものに加入することもあります。これは支払い者の死亡や高度障害などでローン返済が困難となったとき、生命保険会社が銀行への支払いを保障するもの。当然ながら利用する側の人数が多い分、掛け金もリーズナブルです。


× 不動産購入のデメリット
1. 圧倒的に初期費用がかかる
2. 住居費以外に修繕・管理費用が発生する
3. 価値が変動する恐れがある


1. 圧倒的に初期費用がかかる

マイホーム購入の初期費用は、賃貸のそれと比較にならないほど高額。購入時、いかに資金を捻出できるかが大きなハードルとなっています。


2. 住居費以外に修繕・管理費用が発生する

設備メンテナンス費用、固定資産税、相続税といった将来的な付帯費用も考慮する必要があります。これらはローンを支払い終わった後にも残るものです。どうしても物件そのものの金額に目が行きがちですが、修繕・管理費用も視野に入れておかないと後々の返済がひっ迫してしまいます。


3. 価値が変動する恐れがある

契約時、契約者本人はもちろん「高額な価格に見合った価値がある」と判断して購入を決めていると思いますが、そんな契約者との思惑とは裏腹に、土地や建物の価値が一気に下落するケースもあります。「資産になるから」、「将来安心だから」という期待感だけが先行し、購入後のギャップに悩まされることも少なくないようです。


日本の人口が減っている今、不動産購入を資産だけで判断してはいけない
「年金生活になった時に安全だから」と言っても、現在日本は2008年をピークに人口が減少し続けています。資産になる、需要があると思って35年ローンで購入した繁華街の駅近物件が、30年後、人のいなくなったシャッター街となり、値崩れを起こすこともあるのです。単純に資産になるという理由はメリットになり得ないでしょう。

おさえておきたい、年代別の賃貸/購入ポイント

では次に、年代別に考えておきたい賃貸・購入それぞれのポイントを見てみましょう。

20代の賃貸:変化が大きい20代の暮らしに対応できる
基本的に収入は年代を経るにつれ上がっていきます。他の年代に比べ、20代の収入は低めになりがち。賃貸であれば、頭金などの大幅な出費に悩まされることもありません。

賃貸ならではの柔軟性も20代にとってはうれしいポイントです。結婚や出産など、ライフスタイルの変化があった際にも住み替えが容易にできるのは大きなメリットと言えます。


■20代の不動産購入
「50年以上を同じ家で過ごせるか?」考える

若いうちから支払い始める分、余裕のある返済計画が立てられます。しかし裏を返せば、そこに住んでいる間の期間も長くなる =「その間の修繕や建て替えもあわせて考慮する必要がある」ともいえます。

場合によっては住み替えを検討する必要も出てくるでしょう。平均寿命が80歳代といわれる現代。20代での持ち家購入はそこで50年以上過ごすことを想定すべきです。物件そのものを購入できるかの判断基準だけでなく、何十年先を見据えた資金準備も必要になります。


30代の賃貸:貯蓄がしやすく住み替えもできる
20代にくらべ、資金にもゆとりができ貯蓄がしやすい30代。家族構成や将来の見通しがついてくる頃ではないでしょうか。

今すぐの購入には踏み切れないけど将来は購入したいという方は、ひとまず賃貸でコツコツ購入資金を貯めるというのは有効な選択肢のひとつ。一般的には40代、50代と歳を重ねるにつれローン返済にあてられる期間が短くなり、借入審査が厳しくなります。30代のうちにコツコツ購入資金(頭金)をためていれば、借入額が減るので40代以降の審査を通しやすくすることも可能です。

そのまま賃貸に住み続けるのも良いでしょう。転勤や子供の進路に合わせて間取りや住む場所を変えられるのは賃貸ならでは。しかし賃貸に住み続ける場合は、30代のうちからリタイア後の生活費のほか、住居費のことを十分に考えておきましょう。


■30代の不動産購入
一番バランスの良い時期。繰り上げ返済も活用しよう

収入が増え、40代以上で購入に踏み切るよりも返済計画に余裕を持てます。購入には一番バランスの良い時期といえるでしょう。とはいえ、長期ローンの場合は定年前後の支払いがひっ迫する可能性も出てきます。稼ぎ時であるこの世代のタイミングで極力早く繰り上げ返済しなければなりません。


40代の賃貸:リタイア後に備えて貯蓄計画を見直す
20代・30代に比べ確実に「老後への準備期間」が短くなってくる40代。リタイア後の住居費確保に目を向けていきたい時期です。もし今後も賃貸に住み続けるのであれば、老後の住居費を蓄えておきましょう。賃貸である以上、毎日一定額の支払いが発生してしまうからです。

50代に不動産購入の予定があるなら、少しでも多くの頭金を確保して借入れ額を減らすことが大切です。


■40代の不動産購入
残り20年でローン返済ができるか考慮する

一般的には最も年収があがる世代。その一方、子供が中高生と大きくなり「自分の部屋が欲しい」とねだられるようになる時期でもあるため、必然的に大きな間取りの物件ニーズが高まってきます。

40代で不動産購入を行うときには、「相応の高額資金が必要になる」「リタイア時に完済しておきたい場合、返済期間約20年と短期間で支払いきる必要がある」というふたつの課題を認識しておかなければいけません。いかにしてこの年齢までに自己資金を貯め、借入れ額を少なくできるかがポイントといえそうです。

まとめ

「賃貸vs購入」という永遠のテーマに対し、「こっちにすべき!」と結論づけるのは正直難しいところ。しかし、今の賃貸・購入の相場はもちろん、”住まい” に対する価値観そのものがこれからの数十年でがらりと変わります。

賃貸・購入、どちらも有意な差が見出せないことに触れてきましたが、不動産購入の意思が明確に固まるときまでは、あえて賃貸という方法を選ぶという選択肢も現実的な案だと思います。

そもそも、一生涯賃貸のみ・購入住宅のみという二者択一はナンセンス。自分や家族の将来設計に合わせ、賢い選択をしていきましょう。

※紹介されている情報は、記事公開当時の内容となります。