工場の街からオフィスとタワーマンションの街へ

開発し尽くされたかに思える山手線沿線でも、大規模な開発が続いているエリアもあります。今回紹介する「五反田」駅と「大崎」駅がそれにあたります。特に「大崎」駅は山手線沿線の駅としてはめずらしい駅前に工場がある駅でしたが、工場がオフィスやタワーマンションに変わり、新しい都心として注目されています。

工業地域から超高層ビルが建ち並ぶ都会的な街へ

「五反田」駅はJR山手線、東急池上線、都営浅草線の乗換駅ながら、「レミィ五反田」以外に大型商業施設はありません。歩いている人も他の街からの来訪者というよりは、この街に住んでいる人、働いている人が多いように見えます。山手線駅でもややマイナーな存在です。

国道1号線沿いを西口の山手通りとの交差点から東口の高輪台へ向かう坂下まで歩きます。表通りは比較的大きなオフィスビルが並びビジネスエリアです。しかし、その裏手に回ると飲食店などが入る雑居ビルが目に付きます。この界隈は庶民的な雰囲気の繁華街が拡がり、夜も賑やかです。ところが商業エリアを抜けた先の坂道を登ると、まったく異なる風景が現れます。そこは大きなお屋敷が並ぶ高級住宅街になっています。五反田はこのように高級感と庶民性の二面性を持った不思議な街です。そして一度下って住宅地とは反対側、川沿いを大崎方向へ進むとかつて工業地域だった再開発エリアになります。

隣の「大崎」駅はどうでしょうか?現在は駅の改札からペデストリアンデッキで再開発地区へと直接繋がっていますが、以前は駅前広場もありませんでした。今では信じがたいですが、駅前の直ぐ近くまでずっと電機や化学等の工場敷地で、駅前でも街らしい街の様子はなかったのです。

かつて「大崎」駅西口にあった工場(2005年撮影)

かつて「大崎」駅西口にあった工場(2005年撮影)

電機工場からオフィスエリアへと変貌した大崎西口エリア

電機工場からオフィスエリアへと変貌した大崎西口エリア

しかし、昭和57年に東京都の「副都心」に指定され、平成元年の「大崎」駅東口第1地区(大崎ニューシティ)がオープンすると、街の様子は次第に変わっていきました。「五反田」駅から「大崎」駅の間にある目黒川沿いのエリアや「大崎」駅西口エリアから工場が移転していき、次々とオフィスビルやマンションが建設されました。鉄道も埼京線が延伸され、りんかい線や湘南新宿ラインが乗り入れるようになると、このエリアの拠点性は強まり、ビジネスエリアとしての価値も高まったのです。

五反田・大崎エリア開発の概要

このエリアにはとても多くの開発があります。ここでは昭和55年以降の第1種再開発、及び単独のマンション分譲で規模の大きいものを確認しましょう。

再開発の位置

再開発の位置

【「大崎」駅東口第1地区】大崎ニューシティ 平成元年オープン

このエリアで最初の大規模開発。「大崎」駅と目黒川の間の街区です。オフィスビルが中心でしたが、5号館にはスーパーや飲食店が入居しました。当時は周辺に商業施設が少なく、周辺の住民にとても歓迎されたほどです。「ホテルニューオータニイン」も併設され、都市機能の整備はここから始まったと言えます。

所在 品川区大崎1丁目1
敷地面積 20,598m2
延べ床面積 139,110m2
階数 地上21階地下2階
用途 事務所、ホテル、店舗、駐車場

五反田・大崎エリアで開発の端緒となった大崎ニューシティ

五反田・大崎エリアで開発の端緒となった大崎ニューシティ

【「大崎」駅東口第2地区】ゲートシティ大崎 平成11年オープン

大崎ニューシティの南側の街区。オフィスビルはソニーなど大手企業が入居。この頃から、工業エリアからオフィスエリアとしての色彩が強まりました。

所在 品川区大崎1丁目
敷地面積 42,509.31m2
建築面積 21,348.24m2
延べ床面積 319,818.07m2
階数 地上24階地下4階
用途 店舗・事務所・駐車場

【東五反田二丁目第1地区】オーバルコート大崎 平成12年オープン

目黒川の北側、東五反田エリアの最初の開発。分譲のタワーマンションと商業施設が建設されました。工業エリアのイメージを一新する明るい街並が誕生しました。

所在 品川区東五反田2丁目
地区面積 約1.9ha
敷地面積 13,991.67m2
建築面積 57,209m2
延べ床面積 72,834m2
階数 地上17階地下2階/地上30階/地上10階
用途 商業、業務、住宅(333戸)

このエリアで最初の大規模な住宅開発となったオーバルコート

このエリアで最初の大規模な住宅開発となったオーバルコート

分譲マンション:東京サウスパークタワー
三井不動産 総戸数346戸地上30階 平成13年竣工

大崎東口第3地区

山手線と目黒川との間、大崎ニューシティの北側の街区です。駅に近い街区はオフィスビル。その奥に分譲マンションという組み合わせです。

名称 大崎東口第3地区第一種市街地再開発事業
施行者 大崎東口第3地区市街地再開発組合
所在 品川区大崎1丁目
地区面積 約2.5ha

大崎フロントタワー 平成17年オープン

敷地面積 3,684m2
建築面積 23,674m2
延べ床面積 24,125m2
階数 地上 15階・塔屋 1階 高さ64.4m
用途 事務所
着工 平成16年8月
竣工 平成17年6月

アートビレッジ大崎 平成19年オープン

敷地面積 19,941m2
建築面積 12,627m2
延べ床面積 148,510m2
階数 地上22階地下1階
用途 事務所、商業、店舗
着工 平成16年8月
竣工 平成18年12月

ル・サンク大崎シティタワー 平成19年オープン

敷地面積 3,823m2
建築面積 1,443m2
延べ床面積 33,103m2
階数 地上27階地下2階
用途 事務所、商業、店舗
着工 平成16年7月
竣工 平成19年2月

分譲マンション:ル・サンク大崎シティタワー
NIPPOコーポレーション・住友不動産 総戸数254戸地上27階 平成19年竣工

【「大崎」駅西口E地区】Think Park 平成19年オープン

「大崎」駅西口の明電舎工場跡地のオフィスビル開発です。低層階には商業施設もあります。

名称 「大崎」駅西口E地区開発計画
施行者 明電舎・世界貿易センタービル
所在 品川区大崎2丁目
地区面積 約2.4ha(西口地区計)
敷地面積 18,850m2
建築面積 10,633m2
延べ床面積 152,009m2
階数 地上30階地下2階
用途 事務所、店舗、駐車場
着工 平成17年3月
竣工 平成19年9月
【東五反田二丁目第2地区】東京サザンガーデン 平成22年オープン

東五反田地区の小規模な工場等があった街区。オフィスビルと賃貸マンション、そして大規模な分譲マンションが建設されました。目黒川沿いも整備され、マンションの足下も良い環境となりました。

名称 東五反田二丁目第2地区第一種市街地再開発事業
施行者 東五反田二丁目第2地区第一種市街地再開発事業組合
所在 品川区東五反田2丁目
地区面積 約1.8ha
敷地面積 約11,200m2
建築面積 約9,900m2
延べ床面積 約119,400m2
階数 地上44地下2階/地上16階地下2階/地上5階
用途 住宅(700戸)、店舗、業務、駐車場
都市計画決定 平成17年6月
着工 平成20年6月
竣工 平成22年10月

公園化された目黒川の遊歩道とパークタワーグランスカイ(左側のマンション)

公園化された目黒川の遊歩道とパークタワーグランスカイ(左側のマンション)

分譲マンション:パークタワーグランスカイ
三井不動産レジデンシャル 総戸数736戸地上44階 平成22年竣工

【「大崎」駅西口中地区】大崎ウェストシティタワーズ 平成23年オープン

総戸数1,000戸を超えるツインタワーマンション。大崎駅からはペデストリアンデッキで繋がっています。

名称 「大崎」駅西口中地区第一種市街地再開発事業
施行者 「大崎」駅西口中地区市街地再開発組合
所在 品川区大崎二丁目
地区面積 約1.8ha
敷地面積 14,289m2
建築面積 8,518m2
延べ床面積 129,092m2
階数 地上39階地下2階 ×2棟
用途 住宅(1,084戸)、店舗、事務所
都市計画決定 平成17年3月
着工 平成18年12月
竣工 平成21年9月

このエリア最大規模のマンションである大崎ウェストシティタワーズ

このエリア最大規模のマンションである大崎ウェストシティタワーズ

分譲マンション:大崎ウェストシティタワーズ
住友不動産 総戸数1,084戸地上39階 平成23年竣工

ガーデンシティ品川御殿山 平成23年オープン

ソニーの御殿山地区のオフィス跡地の開発。

名称 御殿山プロジェクト
施行者 積水ハウス
所在 品川区北品川6丁目
敷地面積 15,943m2
建築面積 9,159m2
延べ床面積 63,979m2
階数 地上9階地下1階
用途 事務所、店舗
竣工 平成23年2月

【「大崎」駅西口C地区】NBF大崎ビル(旧ソニーシティ大崎)平成23年オープン

「大崎」駅西口のソニー工場跡地のオフィスビル開発です。売却されましたが、現在もソニーが入居しています。

名称 大崎駅西口C地区開発計画
施行者 ソニー
所在 品川区大崎2丁目
地区面積 約2.4ha(西口地区計)
敷地面積 16,558.52m2
建築面積 10,611.26m2
延べ床面積 124,041.48m2
階数 地上25階地下2階
用途 事務所、店舗、駐車場
着工 平成21年2月
竣工 平成23年3月

【「大崎」駅西口南地区】ル・サンク大崎ウィズタワー 平成26年オープン

これもソニーの工場跡地ですが、分譲マンションと商業施設が建設されました。

名称 「大崎」駅西口南地区第一種市街地再開発事業
施行者 「大崎」駅西口南地区市街地再開発組合
所在 品川区大崎二丁目
地区面積 約1.0ha
敷地面積 7,171m2
建築面積 3,692m2
延べ床面積 58,457m2
階数 地上24階地下2階/地上25階地下2階
用途 業務、住宅(204戸)、商業、公益施設、駐車場
都市計画決定 平成19年8月
建築工事着工 平成23年8月
建築工事完了 平成26年1月

「大崎」駅西口のル・サンク大崎ウィズタワー

「大崎」駅西口のル・サンク大崎ウィズタワー

分譲マンション:ル・サンク大崎ウィズタワー
NIPPO 総戸数204戸地上25階 平成25年竣工

【北品川五丁目第1地区】パークシティ大崎 ザ タワーほか

五反田―大崎界隈でも最大の開発規模。5つのオフィスビルと、分譲の大規模タワーマンションと賃貸タワーマンションが建設されます。

名称 北品川五丁目第1地区市街地再開発事業
施行者 北品川五丁目第1地区市街地再開発組合
所在地 東京都品川区北品川五丁目
施行地区 約3.6ha
用途 業務、住宅(850戸)、店舗、公益施設、駐車場
都市計画決定 平成19年 8月
着工 平成24年 4月
竣工 平成27年 5月(予定)

現在販売中のパークシティ大崎 ザ タワー

現在販売中のパークシティ大崎 ザ タワー

分譲マンション:パークシティ大崎 ザ タワー
三井不動産レジデンシャル・日本土地建物・大成建設 総戸数734戸地上40階
平成25年11月より販売中(平成26年3月現在)

【西品川一丁目地区】

国際自動車の車庫と教習所の跡地。住友不動産による複合開発が計画されています。

名称 西品川一丁目地区市街地再開発
施行者 西品川一丁目地区市街地再開発組合(予定)
所在地 東京都品川区西品川一丁目・二丁目・三丁目他地内
施行地区 約3.9ha
事業費 約1,033億円
延べ面積 約212,000m2
用途 住宅(380戸 住友不動産による分譲マンション)、事務所、駐車場等
都市計画決定 平成24年12月
着工 平成26年 3月(予定)
竣工 平成29年 3月(予定)

大規模な複合再開発が予定される西品川一丁目地区

大規模な複合再開発が予定される西品川一丁目地区

【ソニー本社跡】

先日、ソニーの旧本社ビルの売却がアナウンスされました。ソニーの本社は現在JR「品川」駅東口地区にありますが、それ以前は北品川5丁目6丁目界隈に多くのオフィスを構えていました。本社移転後、一部は「ガーデンシティ品川御殿山」として開発されましたが、旧本社ビルであるNSビルなど一部は所有し続けていました。それが売却されましたので、オフィスビル、場合によってはマンションとして開発されることになります。

【再開発以外の大規模マンション】

国際自動車の車庫と教習所の跡地。住友不動産による複合開発が計画されています。

シティタワー大崎
住友不動産 総戸数271戸地上29階 平成16年竣工

プラウドタワー東五反田
野村不動産 総戸数289戸地上25階 平成21年竣工

ミッドサザンレジデンス御殿山
三菱地所・双日・東京建物 総戸数240戸地上27階 平成19年竣工

街づくりに参加出来る都心居住の街

2駅間にある広い地域を20年以上かけて開発を続けてきた五反田・大崎エリアは、もはやオフィスビルとタワーマンションの街になっています

大規模開発が中心であったため、周辺の街路や目黒川沿いの遊歩道の整備も進みました。この地域では、地主企業や開発会社が率先してタウンマネジメントに協力していることも特筆されます。行政とも協力して「目黒川みんなのイルミネーション」など住民やオフィスの企業も参加するイベントも開催されています。

五反田・大崎エリアの開発のピークは越えましたが、これから開発される街区もまだ残されています。住民や関係者が協力してこれから創りあげていく街であることは依然変わりありません。10年、20年と街づくり、コミュニティづくりに参加する楽しみがある街と言えるしょう。郊外の大規模ニュータウンでは珍しくありませんが、都心エリアでこの様な事例はほとんどなくとてもユニークな存在と言えるでしょう。