任意売却と競売の違いとは?メリット・デメリットを含めてわかりやすく解説します

2024.02.28更新

この記事の監修者

寺岡 孝

寺岡 孝

【資格】不動産投資アドバイザー(RIA)/相続診断士/貸家経営アドバイザー/住宅ローンアドバイザー

任意売却と競売の違いとは?メリット・デメリットを含めてわかりやすく解説します

任意売却の仕組みや条件など基本的な知識について、住宅ローン滞納から競売にかけられる前に最善の策を探っていきます。

この記事のポイント
  • 任意売却とは、金融機関が競売にかける前に自分で住宅を売却するという方法。
  • 市場価格で売却することが可能ですが、金融機関の事故者情報に登録されるデメリットもあります。
  • 任意売却を行ってもローンの残債は返済していく必要があるという点は覚えておきましょう。

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目次

不動産の任意売却とは?

任意売却とは、金融機関が競売にかける前に自分で住宅を売却するという方法です。

通常、住宅ローンの抵当権を抹消するためには、ローン返済金の残りである「残債」をすべて返済する必要があります。しかし、売却価格が残債を下回る場合には、不足額に自己資金を充当しなければ抵当権を抹消してもらえません。

任意売却であれば、その売却価格だけでローンの残債に充当して抵当権を抹消してもらうことが可能です。 もし住宅ローンの滞納が繰り返されるようなら、こうした手段もあるということを覚えておくと良いでしょう。

返済ができない状況になった場合、金融機関はできる限りローンの返済を継続して欲しいので、返済期間の延長や一時的に元本返済は据え置き、利息分だけ毎月支払ってもらうなどの返済に関する条件変更を提案してきます。したがって、安易に任意売却を考えるのではなく、早期に金融機関への相談をするべきです。

寺岡 孝
寺岡 孝

任意売却ができる条件

任意売却で自宅を売却するには、ローン返済の滞納が必須条件となっています。返済が滞ることで、債権者は債務の一括弁済を求めることができるようになるためです。

滞納期間にこれといった決まりはありませんが、3〜6か月ぐらいが一般的です。住宅ローン滞納のほかにも、不動産の共有者や連帯保証人の合意を受けていること、税金の滞納などで役所から差し押さえを受けていないことなども条件となります。

任意売却と通常売却/競売の違い

通常売却

通常売却とは、仲介業者を介して売却するもっとも一般的な売却方法です。売却タイミングや価格などすべて自分で決めることができます。

ただし、残債に関しては一括で返済しなければなりません。ここが任意売却と異なるポイントになります。

競売

競売(けいばい)とは、住宅ローンの滞納などを理由に家を裁判所に差し押さえられ、売りに出されることです。住宅ローンを滞納するなどして、金融機関が継続した返済が不可能だと判断すると、金融機関は不動産を強制的に売却して住宅ローンをまとめて回収します。

競売は通常売却や任意売却と比較して売却価格が大幅に低くなることが多く、不動産を競売で売却してもなおローンの残債がある場合には、その残債についても引き続き返済を続けなければなりません。
■任意売却と通常売却/競売の違い
任意売却の場合通常売却競売の場合
価格市場に近い価格で売却ができる市場価格で売却ができる価格が相場の50~80%で落札
残債残債務を少しでも減らす事ができる一括返済残債務が多く残ってしまう
引越し代引越し代を交渉できる引越し代が出ない引越し代が出ない
引越し時期事前に協議して決められます自分で決めることができる裁判所から引渡命令や強制執行もある
情報開示事情を知られず売却が可能開示されない新聞やネット上に開示される

任意売却のメリット

ここでは、任意売却のメリットについて見ていきましょう。任意売却のメリットは以下の5つです。

【メリット①】通常売却に近い価格で売却できる

任意売却は、市場価格で売却するため通常価格に近い価格で売却することが可能です。比較の章でもご説明しましたが、競売の場合は市場の50~80%の価格で落札されることが多いため、安価での売却になってしまいます。

【メリット②】周囲に事情を知られずに売却できる

任意売却は通常売却と同じ方法で販売されるため、周囲に経済状況を知られることがありません。

【メリット③】契約日や引っ越し日の調整ができる

任意売却でも、通常売却と同様に契約や引っ越しの日程は自分で決めることができます。そのため余裕をもって引っ越しなどの準備をすることが可能です。

【メリット④】持ち出し金が不要になる

不動産売却には税金などの費用がかかりますが、任意売却では売却金額からそれらの費用を支払うことが可能です。そのため、手持ち資金にまったく余裕がなくても売却を進めることができます。

【メリット⑤】残債の返済について金融機関と話し合える

任意売却後も残債があれば支払いを継続していかなければなりませんが、支払い方法を金融機関に相談しながら決めることができる点はメリットの1つです。

無理のない範囲で支払いを継続できるよう、金融機関に交渉することをおすすめします。

任意売却のデメリット

以下、任意売却のデメリットです。

【デメリット①】金融機関の事故者情報に登録される

任意売却には住宅ローン返済の滞納が条件ですが、ローンを滞納すれば、金融機関の事故者情報に登録、つまりブラックリスト入りすることになります。任意売却はあくまでも競売にならないための最後の手段です。

ローンの返済額が厳しくなったら、まずは金融機関に相談しましょう。

【デメリット②】債権者などの同意が必要になる

任意売却は、債権者である金融機関や連帯保証人などの同意がなければ売却することができません。また、残債額があまりにも多い場合は金融機関から合意を得ることが難しく、この場合も任意売却を進めることが難しくなります。

ローン支払いが困難になったら、できる限り早めに金融機関に相談するようにしましょう。

【デメリット③】成立しなければ競売にかけられる

任意売却でも、買い手が見つからなければ売却期間は延々長引いていきます。通常売却であれば期間が長引いてもさほど問題にはなりませんが、任意売却でなかなか売れない場合は競売に出されてしまうため注意が必要です。

【デメリット④】費用がかかる

任意売却も、通常の不動産売却のように仲介手数料がかかります。その他にも、売買契約時にかかる印紙税、抵当権の抹消登記費用や、売却益に対する譲渡所得税などが必要です。

ただし、メリットでもご説明しましたが、任意売却では債権者との交渉次第でこれらの費用に加えて、引っ越しのための費用なども売却金額から支払うことができます。

任意売却の流れ

任意売却の流れは下記の通りです。
不動産の売却には通常2~6カ月の期間が必要とされています。任意売却の場合、債権者や連帯保証人との連絡・調整が必要なため、条件によってはそれ以上かかることも珍しくありません。

任意売却を選んでも、競売の落札日前日までに買い手が見つからなければ競売で売却されることになります。

任意売却に応じてもらえるタイミング

滞納期間が3か月にもなると、金融機関は保証会社へ代位弁済(保証会社が本人に代わって返済すること)を求めることになりますが、そのタイミングから任意売却を行うことができるようになります。

前述したように、任意売却は債権者の合意が必要です。債権者である金融機関としても、時間とコストがかかるため競売を避けたいというのが本音ですから、ローンの返済が困難であることをしっかりと伝えることで、任意売却に応じてもらうことができます。

任意売却を検討する際は、できる限り早めに金融機関に相談するようにしましょう。

任意売却の注意点

ここでは、任意売却に関する注意点を解説します。任意売却を検討し始めたら以下のことに注意して進めるようにしましょう。

任意売却の相談先

任意売却には、専門的な法律の知識と経験が必要です。任意売却の相談先として適しているか否か、以下のポイントに着目しながら判断するようにしましょう。

・弁護士、司法書士、税理士、宅地建物取引士などの専門家がいるか
・任意売却の実績が豊富か
任意売却は不動産取引の中でも特殊な案件なので、債務整理に関する法律の専門的な知識や、過去の任意売却の実績が豊富であるかどうかが重要になってきます。事業者の知名度や規模で判断せずに、複数社に話を聞いた上で比較検討することが大切です。

士業の方々は一般的にみれば専門的な知識があって上手くいくようなイメージがありますが、とりあえず着手金だけもらい、自分たちの手に負えない状況であれば直ぐに手を引く場合もあります。したがって、専門家の見極めは重要なポイントです。

寺岡 孝
寺岡 孝

残債

任意売却によって物件を売却することができても、ローンを完済できるとは限りません。住宅を売却し売却代金をローン返済に充てたとしても、残ったローン残高は、債権者と相談の上で分割払いなどによって払い続けなければならないということは理解しておく必要があります。

以下のような返済方法もありますので、覚えておくとよいでしょう。
1小額での分割返済
2自己破産を行う
3サービサー制度などを利用する

サービサー制度とは

法務大臣から営業の許可を得た民間企業が、金融機関などから任意売却で残ったローンを買い取り、債権を回収していくことをサービサー制度といいます。平成11年2月1日に施行された「債権管理回収業に関する特別措置法」(サービサー法)に基づき、代理で残額の回収をしていきます。

よくある質問

ここでは、任意売却に関するよくある質問をご紹介します。
任意売却には種類がある?
任意売却には、市場売却、親子間売買、買い戻し、リースバック、買取の5つの種類があります。市場売却は一般の不動産流通市場で売却を行う方法で、親子間売買は親が任意売却をし、子が買主になる方法、買取は不動産会社に買い取ってもらう方法です。

買い戻しやリースバックは引き続き居住できるメリットがあるなど、それぞれメリット・デメリットがあります。詳しくは、任意売却の種類に関する記事を参照ください。
どのくらいの期間滞納すると競売になる?
住宅ローンを滞納してもすぐに競売にかけられるわけではありません。住宅ローン滞納から1か月目は銀行から催促の電話やDMを受けます。この段階で滞納分を支払ってしまえばこの先に進むことはありません。

住宅ローン滞納から4~5カ月経つと代位弁済の手続きが取られ、住宅ローン滞納から6カ月以上経過するといよいよ競売の手続きが取られます。詳しくは、不動産の競売の記事を参照ください。
任意売却をすると自己破産になるの?
まず、任意売却をしたら必ず自己破産になるというわけではありません。自己破産は、任意売却をしてもローンの支払いが困難な場合に利用するものになりますが、残債の返済については話し合いに応じてくれる金融機関も多く、自己破産することなく解決できる場合が多いです。

まとめ

任意売却についてのポイントやデメリットについてお伝えいたしました。住宅ローンを滞納し競売になる前の最終手段でもある任意売却も、条件が整わないと不成立になってしまうこともあります。

任意売却は債務者(所有者)、債権者(金融機関)、担保物件を買う第三者との合意が条件になるため、売却金額に債権者の合意が得られないと成立はしません。

また、債務者個人では手続きなどがなかなか難しいため、たとえば、不動産会社の仲介で債権者・債務者の調整をしてもらうことが非常に重要です。

また、任意売却を行ってもローンの残債は返済していく必要があるという点も忘れないでおきましょう。

したがって、任意売却をよく熟知している不動産会社などにお願いすることが重要です。

寺岡 孝
寺岡 孝

ローンが完済できなくても不動産を売却できる、
任意売却という方法を覚えておきましょう!

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アネシスプランニング株式会社 代表取締役。住宅コンサルタント、住宅セカンドオピニオン。大手ハウスメーカーに勤務後、2006年に同社を設立。個人住宅・賃貸住宅の建築や不動産売却・購入、ファイナンスなどのあらゆる場面において、お客様を主体とする中立的なアドバイスおよびサポートを行い、3000件以上の相談を受けている。WEBメディアに不動産投資についてのコラムを多数寄稿。著書に「不動産投資は出口戦略が9割」「不動産投資の曲がり角 で、どうする?」(クロスメディア・パブリッシング)などがある。

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