イメージ:夫婦の会話

賃貸マンションに暮らすご夫婦が、何やら話をしています。

妻:
ねえ、ねえ。こんなにマンションのチラシが新聞に入っているわよ。
夫:
そろそろボクらも本気で、マンション選びをしないといけないな。
妻:
でも、今マンションを買っていいのかな?
夫:
今更、何を言い出す。昨日のテレビ番組でも<買い時>と言っていたよ。
妻:
<買い時>って、閉店間際のスーパーみたいに値引きするの?
夫:
うーん、よくわからないよ。
妻:
じゃあ、いつがお買い得なのよ?
夫:
いつと言われても・・・。

どうやら旦那さんは、困ってしまったようですね。
しかし、一年の中に新築マンションが買いやすい時期、値引きされやすい時期というのは本当にあるのでしょうか?

なぜ1年の中で1月〜 3月は購入を検討する人が増えるのだろう?

住み替えのタイミングとして直感的に思いつくのは、新年度が始まる4月かと思います。
会社の転勤や転職で新しい暮らしを始めるも多いでしょう。また、お子さんが小学校、中学校に上がられるタイミングで、住まいを移りたいという方もいらっしゃいます。

これは賃貸から賃貸だけではなく、賃貸から分譲マンションという住み替えでも同様です。「4月から新しいマンションに住みたい」という需要は、他の月よりも多いと思われます。そうすると、お正月あたりから意識をして、1月から3月にかけて活動をするというのが自然な流れでしょう。特にお子さんの就学が絡んだ場合は「どうしても3月末までに」といった考えが強まります。また賃貸契約が3月までで、更新費用や家賃がもったいなく感じ、この機に新築マンションを購入しようという動機の方もいらっしゃるでしょう。

実は検索サイトで「新築マンション」というキーワードが最も検索されるのは1月から3月の期間、すなわち年度末の時期が一番多くなります。

2012年~2014年 「新築マンション」キーワード検索件数

このデータから多くの方がこの1月-3月の年度末に関心が高まることが分かります。では一方で、この時期に購入、入居出来るマンションは増えているのでしょうか?
そこで過去10年間、首都圏で発売された物件の数を月別に調べてみました。

首都圏新築マンション月別発売住戸数2004〜 2013年

一番発売が多いのは7月。続いて5月。そして、3月、2月と続きます。少ないのはお盆休みがある8月とお正月がある1月です。年の前半の方が売り出される新築マンションは多いようですが、これだけでは「1月―3月に新築マンションが良く売れている」「多くの物件があって選び安い」とは言えません。

しかしもう一つデータがあります。同様に過去10年間販売された物件が竣工した時期を月別に見てみましょう。

首都圏新築マンション月別竣工住戸数2004〜 2013年

ご覧の通り2月と3月に完成する住戸数が圧倒的に多いことがわかります。 しかし、問題が入居時期だけであるなら、選考・契約をするのは夏でも秋でも構わないはずです。年度末に新築マンションを選び、契約することにメリットはあるのでしょうか?

年度末に検討するメリットってなに?

もし「絶対このマンションを購入したい!」という特定の物件がある場合であれは、そのマンションの販売スケジュールに合わせるしかありません。しかし、ある程度幅をもって、「この沿線、このエリアで、自分たちに合ったマンションを探す。」という考え方で選ぶのであれば、1月-3月にマンション探しをすると選びやすいと言えます。

第1の理由は、この時期であれば完成した実物のマンションを多く見学出来るからです。
先ほどグラフで確認しましたが、年度末へ向かって完成するマンションが増加するため、1月-3月は完成した実物の住戸を確認して購入出来る物件が多くなります。新築マンション販売はマンション建設中に商談・契約をするのが一般的です。モデルルームや図面などを見ながら選ぶわけですが、全ての間取りのモデルがあるわけではありませんし、建物全体の印象などは想像し難いものがあります。そのあたりは、完成した建物・住戸の実物を見学すれば、ひと目で確認出来ます。建設中に契約した住戸を竣工後に内覧して「想像していた感じと違う」ということを防げます。
たとえ本命の物件の完成は秋であったとしても、既に完成している競合物件の実物を見学出来れば、本命物件の出来映えを想像することもしやすくなります。

第2の理由は、比較出来る物件・住戸の数が多いことです。
この時期は完成物件が多いだけではありません。1月-3月は新規物件が登場する時期でもあります。新築マンションの販売センターがオープンする時期はお正月明けの1月、お盆明けの8月後半、そしてゴールデンウィークの集客を狙った4月後半が多くなっています。また500戸を超えるような大規模マンションやタワーマンションでは、一般の物件よりも販売に至るまでの期間が長くなり、1月に事前説明会がスタート、3月に販売センターの正式オープン、4月~5月に登録販売というスケジュールが多いようです。
そうすると、この1月-3月の年度末は、完成したマンションとこれから売り出すマンションが丁度重なる時期です。買い手の立場からみると、数多い物件・住戸から選ぶことが出来る時期になるのです。

デベロッパーや営業マンも年度末に契約したいと考えている

そして重要なのは、この1月-3月の年度末はデベロッパーや販売現場の営業マンにとっても「マンションを売りたい時期」なのです。

デベロッパーは通常「竣工完売」を目標にします。というのも、マンションの建設費というのは何回か分割してデベロッパーからゼネコンに支払いますが、最終的には建物が完成して数ヶ月以内には全額支払う必要があります。売れ残りがあれば、その分は代金が入ってきませんから、極端に言えば、足りない分を借金して建設費を支払わなくてはいけません。ですから竣工までに完売することを目指します。3月に竣工するマンションが多いため、「3月完売」が目標になるマンションが多くなります。
また、自力で資金調達が出来るデベロッパー以外は、銀行からの借り入れが必要です。そこで銀行対策として在庫=棚卸資産の圧縮も財務的に重要な課題になります。

営業マンに実際の事情を聞いてみました

イメージ:営業マンに実際の事情を聞いてみました

大手デベロッパー系の販売会社で長年マンション営業を担当されてきたAさんが語ります。

「うちの会社では各支店、営業所、営業マンの成績は3月締めになっています。目標が未達だと査定にも響きますから、12月までの成績が悪かった場合、お正月を過ぎると焦りを感じてしまいます。
また、3月末までに完売出来ないと、たとえ4月にその物件が完売したとしても、社内に配布される週報の物件一覧に翌年度も同じ物件名がずっと残ることになり、バツが悪いですね。ですから販売センターの所長も気合いが入ります。もちろん私たちも個人の営業成績をあげるために頑張ります」

年度末ならマンションも安くなるのか?値引き販売の理由

販売サイドが売りたい事情はわかりました。1月〜 3月が新築マンション選びに良いのは多くの物件・住戸から選べるということだけでしょうか?デベロッパーが「売りたい」のであれば、価格改定や個別の住戸について値引きは期待出来ないのでしょうか?

営業マンに実際の事情を聞いてみました

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先ほどのAさんが説明します。

「一般論として、季節に関係なく、建物完成に合わせてどうしても売り切りたい物件や完成から半年で売り切りたい物件というのがあって、その場合は値引き販売することはあります。 完成物件、昨年からの繰り越し販売物件、新規の売り出し物件と一年のうちで一番市場に物件が多く出ている年度末なら、値引き販売と遭遇する確率は他の季節に比べて多くなるでしょう。」

未成約住戸や未発売住戸を多く抱えて販売を続けるにはコストがかかります。例えば、営業マンの人件費やチラシなどの広告費、販売センターの維持費。完成した物件・住戸であれば、意外と負担が大きいのは管理費です。本来は購入者が払う管理費も、引き渡し前はデベロッパーが毎月負担します。 そして残戸が少なくなればなるほど1戸あたりのコストがアップしていきます。残り1戸を販売するのに、あと400万円のコストがかかるなら、今200万円を値引きして直ぐに契約出来た方が儲けは大きいわけです。また、完売することで担当していた営業マンを他の物件に投入することも出来ます。そういった諸々のことを考慮して値引きは決定されます。

このように完成在庫に関しては、値引きをしてでもお客さんがいる時に販売した方が合理的なわけですから、値引きで購入出来るチャンスもあるでしょう。

どんな物件、住戸が対象になるのか?

では、どのような物件・住戸が値引き販売に対象となるのでしょうか?
それを見極めることはできるでしょうか?

購入する住戸の設計や仕様を変更出来る物件の場合、「今月末まで成約頂かないと、クロスや床、ドアの色を変更することが出来なくなります」と商談時に営業マンに告知されることがあります。期間内に契約されない場合は、資材調達の関係でデベロッパーが決めた設計・仕様で工事が進みます。デベロッパーは人気になりそうな色や仕様を選んではいますが、時に販売が進んでみたら特定の色の住戸だけ残ってしまうということも起きます。あまりに住戸間で極端に人気に差があるようであれば、販売サイドも値引きを考えます。 他にも、DINKSのニーズが多い街でファミリータイプを多く作りすぎた場合や、反対にファミリーが多い街で小面積の住戸が多かった場合など、マーケティングの失敗によって値引き販売が必要になることは時々あるようです。

ただし、このようなケースはデベロッパー側の事情で値引きしているだけで、あくまでもその物件・住戸の価値が低いというわけではありません。他の人は合わないかもしれないけれど、自分たちが欲しい間取りやカラー、納得出来る設備・仕様であるなら、実際に居住する上でなにも問題はないですからね。

値引き販売がある理由

値引き販売が期待出来ないケース

一方で、売れ行きが進んでいなくとも全く値引きがされないマンションもあります。

例えば、そのデベロッパーを代表するような高額物件や大規模物件です。これらは長期販売になることをはじめから想定して、高グレードで高価格を設定していることがあります。他には、集客は伸びていないけれど、地元の人を対象に細々売れ続けているので、時間はかかるが販売の目処は立っているような物件です。

またデベロッパーによっても、値引き販売についての考え方が異なります。エリアマネージャーに価格についても裁量権を与えており、現場の事情に合わせて柔軟に対応するデベロッパーもあれば、価格の全ては本社が決裁しており、普段はあまり値引きをしないが、苦戦する大規模物件を一斉に価格改定するようなデベロッパーもあります。他に、建物完成後も販売を続けることを前提に従前からコストと利益を見込んだ価格設定をしており、たとえ販売が長期化しても価格変更はしないデベロッパーもあります。

これが値引き販売のシグナルだ!

そうなると内部の事情がわからない顧客側から、どの物件・住戸が値引きしそうなのか、見極めることは難しいようですね。
困りました。私たちはどうしたら値引き物件にたどり着けるのでしょうか?

<モデルルーム使用住戸販売><住戸家具付き販売>

分かりやすい例では<モデルルーム使用住戸販売><住戸家具付き販売>というような広告です。 これは売り急いでいるサインになります。
通常、完成物件を販売するときは「モデルルーム使用住戸」は直ぐには販売しません。見栄えがする間取りの住戸を棟内モデルルームにする場合が多くなりますが、モデルルームを見せて、モデルルームでない住戸を販売するが営業マンの腕の見せ所です。売りやすいモデルルーム住戸を販売するのは、残り数戸という段階でもなければ、焦っている場合です。<家具付き販売>というのも、実質値下げ販売ですので、もう一押ししてみるべき状況ではないでしょうか。

価格表の「成約済み」の位置をみる

さらに目安になるのは、全体の価格表を見た時に多くが<成約済み>となっているのに、特定の縦一列だけが、売れていない場合です。

販売戦略として、人気が予想される間取りを後まで残しておくという場合もないわけではありませんが、実際に人気があるのなら、「販売して欲しい」という顧客から要望があるので、残している列の中でも何戸かは販売されて成約しているものです。一列の中で低層階だけが成約している場合などは、値付けが高すぎたことを反映していると思われます。営業マンにその間取りの不人気の理由を質問した上で、住戸価格と自分たちの予算との差額について一度話してみる価値はあるでしょう。
他には大規模物件やタワー物件において「第4期8次販売3戸」といった小刻み販売をしている物件も、販売の進捗が遅れていることを示しています。交渉によっては値引きやオプションが無料になる可能性があります。

広告で価格改定を明らかにしている物件以外になると、値引きする物件・住戸を探すのは難しいようです。それならば自分から切り出して値引きしてもらうというのはどうでしょうか?
自分が求めている条件がハッキリしているなら、自分から営業担当に尋ねて見るのも手です。ただし、住宅販売はデベロッパーと販売会社が異なることが多く、たとえ同じ会社であったとしても、現場には裁量権がないのが普通です。自動車販売など他の消費財の販売とは異なり、その場の交渉で決まるようなことはありません。後から営業マンから連絡をしてもらい、ダメとわかった場合は諦めて、同じ物件で予算に合った他の住戸を検討するなり、他の物件を当たるなどするべきです。

値引き販売のシグナル

販売センター見学の勧め

マンション専業デベロッパーで営業を担当しているBさんに聞いてみました。

「営業の立場としても、お客様が何を優先させたいのかハッキリしていると話もしやすいです。
販売センターへいく前は、ご夫婦で自分たちの予算、年間の支払い可能額を確認しておくと良いでしょう。もし、いくらの予算を組めるかわからないのでしたら、その旨を営業マンに伝えてもらえば、どれくらいのローンが借りられるのか試算します。」販売員とは言え、他人に資産や収入の話をするのは、あまり気乗りしないかもしれませんが、予算はとても重要ですので明確にしておく必要があります。
予算の把握の次に必要なのは相場観です。探しているエリアにおける商品像や価格水準を知っていた方がよいでしょう。そのためには情報収集が大切です。本命物件と周辺の競合物件の広告を比較してみて、メモを作っておくといいでしょう。立地・建物(構造や共用設備)・住戸(広さや間取りや仕様)・価格。それぞれについて、何が気に入っているのか、気にならないのか整理しておけば、営業マンと商談しやすくなります。インターネットを使えば多くの物件情報が集められるでしょう。

そして、営業マンと直接お話しすることをお勧めします。やはり対面で得られる生きた情報は貴重です。
インターネットで公開されている間取り図だけではわからない住棟内の位置・階層による眺望や日照条件の違いなどの話が詳しく聞けます。設備や仕様もモデルルームや実物大サンプルを見た方がわかりやすいはずです。また、近隣に新規出店する商業施設や再開発計画などについて、広告では伝えきれない細かな計画情報なども営業マンから聞けることでしょう。準備の良い販売センターでは、競合物件の価格や沿線・エリアの相場などを説明する場合もあります。

販売センターを見学する際、最初は二番手、三番手に考えていた物件を見学した上で、本命物件の販売センターへ出かけるというのも一つの方法です。ひと通り街や価格相場の説明を聞いていれば、本命物件の見学では「この物件ならではのポイント」に集中して話が出来ます。もちろん見学した結果、本命物件が変わることもあるでしょう。

以前スマイティが実施したアンケートで、購入するまで見学する物件数が想像以上に少なく、スマイティ編集部内でも話題になりました。
一生で一番大きな買い物になるわけですから、気になる物件は、全て見て回るくらいの行動力があっていいと思います。

販売センター見学の勧め

マンション選びを楽しみましょう

マンション選びには時間がかかります。注意しなければいけないことは、性急に結論を求めたり、良い価格条件を引きだそうと躍起になって疲れたり・・・。マンション選びをストレスにしてはいけないということです。住宅選びで家族がケンカをして不機嫌になりたくないですよね。

「1日に何軒もショップをハシゴして洋服を選ぶ。」「商品情報をトコトン調べて最高の逸品を手にする。」お買い物の楽しい経験は色々と多いはずです。マンションも同じように楽しみながら探しましょう。 また、値引きを引き出したいために「競合物件は○○○万円値引きしてくれる」など虚偽の情報を伝える方も中にはいるようですが、近年は異なるデベロッパーや販売会社の社員間でも交流が増えており、各物件の販売状況などを詳しく知っていることが多くなりました。そういうハッタリは通じないと心得た方が良いと思います。

営業マンも人の子です。「このお客様に買って欲しい」と思ってもらえたら、上客として扱ってもらえます。あなたの「買う気」を示すことが一番大切でしょう。

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