外断熱構造
そとだんねつこうぞう
外断熱構造とは、建物の内外の温度差を低減できる外断熱の工法の1つです。
外断熱構造は、コンクリートの外側に
断熱材を入れるものです。さらに、
複層ガラスなどを使ったサッシとともに使用することで高い断熱効果を発揮することが期待されています。
外断熱構造では、
梁や
柱の外側に板状の
断熱材を貼ります。手間やコストがかかってしまうという問題がありますが、非常に高い断熱効果があります。例えば、コンセントの隙間も埋める為、密閉度は非常に高いです。また、
梁や
柱を外気から守る為、構造体に対するダメージも軽減できます。さらに、
結露防止にも効果があることからも住居に対するダメージが少ないのです。
外断熱構造のメリットは、建物の寿命を延ばすだけではありません。断熱性の高さによって省エネ効果が期待でき、光熱費の節約につながります。そのため、
外断熱による初期コストが発生するものの、長期的に見るとコストは抑えられる傾向にあります。
なお、
外断熱構造は主にコンクリートと相性が良いとされています。その理由は高い蓄熱性を持つコンクリートが、
外断熱構造によって
断熱材の内側に置かれることで、冷暖房の効率が高まるのです。そのため、省エネ効果も高くなります。
複層ガラス
複層ガラスは、乾燥空気やアルゴンガスなどの中間層に厚みがあることで断熱性が高くなり、結露の防止や遮音効果にも役立ちます。
1997年京都議定書締結以降、先進国の多くでは現在複層ガラスの利用が義務付けられるようになりました。日本では現在(2013年)のところ規定がありませんが、地球規模で課題とされているエネルギー消費量の問題を考えると、今後は複層ガラスがスタンダードなものになる可能性も少なくありません。
一般的に普及している複層ガラスは厚さ3mmの2枚の板ガラスの間に6mmの乾燥空気を注入しています。ガラス間の厚みは厚みがあるほど断熱効果が高まります。しかし、12mmを越えてしまうと基本的には断熱性能が頭打ちになります。
なお、Low-E複層ガラスというものがあります。こちらは複層ガラスの中でも非常に断熱性の高いもので、片側のガラス表面を薄い特殊金属膜によってコーディングしたものを指します。金属膜によって熱の伝達を抑える効果が高く、冷暖房に対する負荷も大きく軽減できる為、長期的なコストを抑えることに役立ちます。
ただし、リフォーム時、サッシはそのままで複層ガラスを採用することは現実的ではありません。複層ガラスは厚みがあり、サッシの溝に入らない為、専用アタッチメント装着などを検討する必要があります。
結露
結露とは、建物の室内と室外の温度差によって、窓ガラスや窓枠、壁などに水滴がつくことです。気密性の高い住宅で冬場に発生することが多く、放置しておくとカビやダニ、汚れの原因となり、長期にわたると建材の腐食の原因ともなります。結露は窓やドアなど目に見えるところだけでなく、収納扉の裏側や床下、天井裏などに発生することもあります。
結露対策の基本は、室内外の温度差を防ぐことと、湿度を抑えることです。断熱材や複層ガラスなどを採用した高断熱の家屋は結露に有効です。また、換気や除湿も効果があります。ただし、室温が下がったり、乾燥した空気はのどや肌に好ましくないなどの問題もあります。結露対策として結露防止スプレーやシートなどの商品も販売されています。それでも発生してしまった結露は、早めに拭き取るなどの対処が必要です。
外断熱
外断熱とは、建物の外側を断熱材でくるむ断熱方法です。屋根や外壁、基礎などを、柱などの構造材を含めてすっぽりと断熱材で覆うため、結露を防ぎ、構造体が劣化しにくいなどの特性があります。
用いられる断熱材は、硬質ウレタンフォームや押出法ポリスチレンフォーム、フェノールフォームなどの発泡プラスチック系が用いられます。発泡プラスチック系断熱材は熱伝導率が低いのが特徴です。
鉄筋コンクリート造では、コンクリートに高い蓄熱性(温まりにくく、冷めにくい)があるため、建物の外側から断熱層で包み込む外断熱が適しており、室内温度を一定に安定させ、冷暖房効果が高く、結露の心配もありません。
また、最近では、その高い断熱効果を期待して木造住宅での採用も進んでいます。
ただし、外断熱は内断熱に比べてコスト高の傾向があり、また、外壁に負荷を加えるため、外装材に制限が生じる場合もあります。また、断熱材に比較的燃焼しやすいものが多いことも課題です。
断熱材
断熱材とは、熱の伝達を抑えるためのもので、外気温の変化から建物を守るために使用されます。
断熱材は、建物の外側を覆ったり(外断熱)、壁の中や柱と柱の間に充填したり(内断熱)することで、建物の内側と外側との熱の出入りを抑えます。
建材として用いられる断熱材は、繊維系断熱材や発泡系断熱材があります。木造住宅の内断熱工法では、繊維系のグラスウールやロックウールなどがよく使用されます。これらは低コストで耐熱性、吸音性に優れています。また、コストは高くなりますが、セルロースファイバーやインシュレーションボードなどもあり、調湿性も有します。外断熱工法では、発泡系のポリスチレンフォームやビーズ法ポリスチレン(EPS)など難燃剤を含んだものが用いられます。また、現場で発泡して施工する硬質ウレタンフォーム(フロンガスなどで発泡させたウレタン樹脂)は、フロンガスの使用禁止で使用されなくなっていましたが、ノンフロンの開発で再度見直されています。
柱
柱とは、建物の軸組みで、土台に対して垂直に立てて、屋根や床の荷重を土台や基礎に伝えるものです。木造軸組工法やラーメン構造では、梁などとともに建物を支える最も重要な部材です。
柱の太さは、柱の位置や部屋の大きさ、支える重さによって決めます。木造2階建て以上の場合には、土台から軒まで通った継ぎ目のない「通し柱」が建物の四隅に使われます。「通し柱」は、上下階を構造的に一体化させて耐震性を高めるために重要なものです。各階ごとに梁や胴差しなどで区切られた柱を、「管柱(くだばしら)」といいます。「管柱」も各階の荷重を受ける構造体です。このほか、柱と柱の間に壁の補強のために入れる柱を「間柱(まばしら)」と呼びます。また、壁に取り付けた装飾用の柱を「付け柱」といいます。
梁
梁とは、建築物の骨組みのなかで、建物に対して水平方向に渡し、屋根や床など建物の上からの荷重を柱に伝えて建物を支える部材をいいます。柱と連結して支える梁を「大梁」、柱に直接つながっていない梁を「小梁」といいます。元来は、屋根の棟木(むなぎ)に対して直角に渡したものを梁と呼び、水平に渡したものは桁(けた)と呼んでいました。そのため、棟木と水平方向の建物の奥行きを梁方向、直角に交わる方向を桁方向といいます。また、屋根を支える梁を小屋梁(こやばり)、床を支える梁を床梁(ゆかばり)と呼びます。
木造建築では、梁には松や米松、杉などが使われます。また、「現し」といって、梁を露出させて意匠を施すものもあります。