共有/準共有
きょうゆう/じゅんきょうゆう
共有とは、複数の人で1つの財産を所有することです。準共有とは、複数の人で借地権など所有権以外の権利を持つことです。
共有とは、1つの不動産などの財産を複数の人で共同して所有するものです。準共有とは、
借地権など
所有権以外の財産を共同して持つものです。
共有は、共同出資して1筆の土地を購入した場合や、親の財産を数人の子どもで相続した場合などに生じます。また、マンションでは、土地は共有となり、建物もロビーなどの「
共用部分」は
所有権を共有することになります。それぞれの共有者が持つ
所有権の割合を「
持ち分」と呼びます。各共有者は共有物の全部を使用できますが、使用期間や回数などは
持ち分に応じたものとなります。また、共有物の管理は
持ち分の過半数の決定で行うことができますが、増改築や売却など共有物の変更は全員の同意が必要です。
マンションでは、建物の専有部分は「区分所有」となり、
区分所有権を有する人たち全員で、建物の共有部分および土地を
持ち分に応じて共有します。
対象となる土地が
借地権の場合には、
借地権の準共有となります。
借地権
借地権とは、土地の所有者から、建物を所有することを目的として土地を借りて使用する権利のことです。賃借権と地上権のことをさします。借地権には、普通借地権、定期借地権、事業用定期借地権、建物譲渡特約付借地権、一時使用目的の借地権があります。また、借地権は賃借権か地上権かによって、売買に地主の承諾が必要かどうかなど、権利の質が異なります。
1992年施行の新借地借家法によって、借地権を持つ人が地上の建物について登記を行っていれば、土地の所有者が交替した場合などにも借地権を主張できるようになりました。また、譲渡・転貸の際の地主の承諾の代わる裁判所の許可なども認められています。
なお、普通借地権では、基本的に契約更新が可能です。
所有権
所有権とは、特定の物を自由に使用、収益および処分できる権利です。所有権を持つ人は、その所有物に対して独占的に支配できます。所有権は時効によって消滅することはありません。
ただし、自由にできる権利は、法令上の制限の範囲内です。また、公共の福祉に反する権利は認められていないため、一定の制限を受けます。
また、所有権を有する物件について、所有者以外の人が抵当権や借地権を設定している場合には、その制限を受けます。
区分所有権
区分所有権とは、マンションやオフィスビルなどで、1棟の建物の中に独立した複数の住居や店舗、事務所などがあるものについて、その独立した部分を所有する権利のことです。
独立した各部分は「専有部分」と呼ばれ、購入者が自由に使用し、また、売却や譲渡もできます。これに対して、エントランスやエレベーター、共用廊下など、建物内の専有部分以外を「共用部分」と呼びます。共用部分については、専有部分の床面積(専有面積)の割合(持ち分)に応じて、所有権を共有します。同様に、敷地についても、持分に応じて、所有権を共有します。
マンションでは、専有部分の区分所有権と共用部分の共有持分、敷地の共有持分の3つの権利を有することになります。区分所有権を売却すると、共有持分も一緒に売却することになります。
共用部分
共用部分とは、マンションやオフィスビルなどの区分所有権建物で、区分所有者全員のための施設や付属部分のことです。専有部分以外のすべてが共用部分として扱われます。
具体的には、エントランス、共用廊下、階段、エレベーターホール、機械室、駐車場など専有部分に属さない建物のほか、メーターボックスやバルコニー、内外壁、床スラブ、パイプスペースなども共用部分として扱います。また、建物に付属するエレベーター設備、電気設備、給排水設備、インターネット通信設備、宅配ボックスなど、専有部分に属さない付属設備は共用部分となります。そのほか、管理人室や集会室など、性質上共用部分とみなされるもの、規約によって共用部分とされる部分などです。
共用部分は、区分所有権者全員で所有権を共有します。
持ち分
持ち分とは、1つの財産を複数の人で共有して所有する場合、それぞれの共有者が有する所有権の権利の割合をいいます。
一戸建て住宅を夫婦で資金を出し合ったり、それぞれの住宅ローンを組んで購入した場合など、住宅購入資金を2人で負担することもあります。そのような場合には、負担割合に応じて所有権を共有することになります。例えば、2000万円の家屋を、夫が1200万円、妻が800万円負担して建築した場合に、建物は夫婦の共有名義となり、夫の持ち分は5分の3、妻の持ち分は5分の2となります。
また、マンションなどでは、敷地や建物の共用部分は区分所有権者による共有となり、その持ち分は、専有面積の割合に応じたものとなります。