既存道路
きぞんどうろ
既存道路とは、建築基準法で「建築基準法上の道路」とされている道路です。
既存道路とは、1950年の
建築基準法施行時に、
都市計画区域内(または準
都市計画区域内)に現に存在した道路で、幅員4m以上の道路をいいます。また、施行後に
都市計画区域に編入された地区では、編入された日において、現に存在する幅員4m以上の道路をいいます。
公道、私道の別は問いません。従来から道として機能していたもので、
建築基準法第42条第1項第3号において、「
建築基準法上の道路」と規定されているもので、「1項3号道路」とも呼ばれます。
既存道路は、私道であっても、一般の交通のために供される義務があり、勝手に廃止することはできません。
なお、幅員4m未満の道路で、特定行政庁が指定した「みなし道路(
2項道路)」も、既存道路に含めることもあります。
建築基準法
建築基準法とは、建物を建てるときの基本的な法律です。建築物の敷地・構造・設備・用途の最低基準を示し、用途地域や日影規制などエリアによって守るべき事項などが定められています。建物の利用者や近隣住民の生命・健康・財産を守ることを目的に、1950年に施行されました。基準の具体的な技術水準などは、建築基準施行令や施行規則などで詳細が規定されています。また、基準が実効性をもつように、着工前の建築確認や工事中の中間検査、完了検査、違法建築物の是正措置なども定められています。
建築基準法はこれまでに何度も改定を重ねています。1981年には現在の耐震基準が導入、2003年にはシックハウス対策の規定導入、2007年には耐震偽装事件を受けて建築確認審査の厳格化が図られました。中古マンションを選ぶ際には、いつ建てられたかによって基準が異なるため、築年は大まかな安全性を見るときの一つの目安にもなります。
都市計画
都市計画とは、都市の健全な発展と自然環境の調和などにより、健康で文化的な都市空間を整備するための総合的な街づくりの計画です。都市計画法の規定による法的な規制力があり、秩序ある整備を図るための土地利用や都市施設の整備、市街地開発事業などが定められます。
都市計画を定める場所を都市計画区域と呼び、一定の開発行為を行う場合には都道府県知事の許可が必要となるなど、規制がかかります。
都市計画には、市街化区域と市街化調整区域の区分、地域地区、促進区域、遊休土地転換利用促進地区、被災市街地復興促進地域、都市施設、市街地開発事業、都市計画区域のマスタープラン、都市再開発方針等、市街地開発事業等予定区域、地区計画等があります。
2項道路
2項道路とは、建築基準法が施行された1950年に既に建物が立ち並んでいた道で、幅員が4m未満のものを、特定行政庁が道路として指定したものです。みなし道路ともいいます。
2項道路に接する敷地に建物を建てるときには、道路の中心線から2m後退したところまで敷地を後退させる「セットバック」が必要です。これは将来的に4m幅員を確保するためです。また、「6m道路規制」が指定された区域内では、道路の中心線から3m線までのセットバックが必要となります。道路の向かい側が川や崖地の場合には、向かい側の道路境界線から4m(または6m)の線まで後退させなければなりません。
公道
公道とは、国や地方自治体など公的主体が管理している道路のことです。道路法で定める高速自動車国道、一般国道、都道府県道、市町村道などです。また、農道や林道も公的な保護や助成が受けられる半面、所有者による自由な処分はできず、公道としての性格が強いものです。公道の交通に対しては、道路交通法が適用されます。
建築基準法で道路という場合には、「幅員4m以上のもの」と規定されており、公道か私道かにかかわらず、接道義務がクリアされていれば問題はありません。
なお、公道であれば道路の補修など維持管理を公的に行ってくれるので、私道を寄付して公道に移管しようとするケースがありますが、実際には予算の関係などから、なかなか寄付を受けつけないようです。小規模な開発地などで、袋上の前面道路が私道になって、何軒かで私道負担している場合があります。私道であっても公衆用の道路として維持管理されていれば問題ありませんが、凸凹のままなど維持管理状態が悪いものもあります。現地見学では、維持管理の方法や費用負担について、確認しておきましょう。