欠陥住宅
けっかんじゅうたく
欠陥住宅とは、通常あるべき安全性や性能に問題がある住宅です。
欠陥住宅とは、通常あるべき安全性や住宅の機能に欠陥をもつ住宅です。欠陥とは、
建築基準法などの建築関連の法令に違反するもの、工事
請負契約書など契約書や設計図に違反するもの、設計・施工ミスや技術力の不足によるものなどで、構造の安全性や耐久性、耐火性、断熱性、遮音性、健康面での安全性などに支障があるものをいいます。
新築住宅では、
品確法によって、構造上の主要な部分または雨漏りに対する瑕疵(かし)担保責任は、引き渡しから10年間となっています。
瑕疵担保責任期間内の補修は、
売主または請負業者に請求できます。ただし、不動産業者から購入した場合には、引き渡しから2年以内となっています。
欠陥住宅の症状は、
基礎の沈下、床の傾き・たわみ、壁の亀裂・仕上げ材のはがれ、天井のたわみ、
屋根の変形、雨漏り、設備からの漏水、建具の開閉不良、建物の揺れ、シックハウスなどがあります。欠陥の疑いが見つかった場合には、速やかに専門家に調査してもらう必要があります。
なお、建築時には法令を満たしていた住宅で、法改正によって適合しなくなったものは、既存不適格住宅といい、欠陥住宅とは区別されます。
請負契約
請負契約とは、依頼者(施主)と請負人(ハウスメーカーなど)の間で仕事の内容と報酬などについて建設工事請負契約を締結します。
建設工事請負契約には、発注者(依頼主)、請負者、工事内容(建物のプラン・仕様・品質・性能などが記載された図面や見積書)、見積内訳明細、請負代金の額、支払方法、工事の開始時期、工事の完成時期、建物の完成及び検査、瑕疵(かし)担保、完成が遅れた場合や違約金の対応、発注者と請負人の間にトラブルが生じた場合の対応などが記されています。
建設工事請負契約には、設計図書などの図面や見積書が添付されます。その内容は、後々のトラブルを回避するうえで大変重要なものです。契約に先だって丁寧に内容を確認し、不明点は問い合わせるなど、十分に理解して納得した上で取り結ぶことが大切です。
瑕疵担保責任
瑕疵担保責任とは、建物の引き渡し後に欠陥が見つかった場合に、売主が買主に対して負う責任をいいます。
契約や引き渡し時には分からなかった隠れた瑕疵欠陥が発見されたとき、一定の期間内であれば契約の解除や損害賠償、修繕・補修を請求できます。瑕疵とは、不同沈下や雨漏りなどの土地や建物の物理的欠陥に加え、接道義務違反などの法的欠陥、自殺物件などの心理的欠陥も意味します。請求できる期間は、売買であれば、民法上は「欠陥の発見後1年以内」となっています。
新築住宅については、基本構造部分について、品確法によって瑕疵担保責任期間が10年間に義務付けられました。また、保証を実行できるために、住宅瑕疵担保履行法によって瑕疵保険への加入などが義務付けられています。
建築基準法
建築基準法とは、建物を建てるときの基本的な法律です。建築物の敷地・構造・設備・用途の最低基準を示し、用途地域や日影規制などエリアによって守るべき事項などが定められています。建物の利用者や近隣住民の生命・健康・財産を守ることを目的に、1950年に施行されました。基準の具体的な技術水準などは、建築基準施行令や施行規則などで詳細が規定されています。また、基準が実効性をもつように、着工前の建築確認や工事中の中間検査、完了検査、違法建築物の是正措置なども定められています。
建築基準法はこれまでに何度も改定を重ねています。1981年には現在の耐震基準が導入、2003年にはシックハウス対策の規定導入、2007年には耐震偽装事件を受けて建築確認審査の厳格化が図られました。中古マンションを選ぶ際には、いつ建てられたかによって基準が異なるため、築年は大まかな安全性を見るときの一つの目安にもなります。
品確法
住宅の品質や性能の確保を目的に、2000年に施行された法律です。正式には「住宅の品質確保の促進等に関する法律」といいます。
品確法は、「瑕疵(かし)保証」「性能表示」「紛争処理」の3本柱からなります。住宅の品質を高め、住宅購入者の利益を保護し、トラブルを迅速かつ適正に解決するために制定されました。「瑕疵保証」は、新築住宅の基本構造部分等の瑕疵担保責任期間を10年間と義務付け、瑕疵担保責任の充実化を図りました。「性能表示」は、評価基準を定めて、登録評価機関が検査と評価を行うので、客観的に比較検討できます。「紛争処理」は指定住宅紛争処理機関の活用により、裁判に至らずに迅速な解決が可能になりました。
基礎
基礎とは、建物の最下部にあり、上物の荷重を地盤に伝える構造です。建物を安全に支えるために、極めて重要なものです。
基礎の種類には、布基礎(連続フーチング基礎)、ベタ基礎、杭基礎などがあります。布基礎は壁面に沿ってコンクリート構造が連続する形状の基礎です。「布」とは、水平の意味があり、「フーチング」とは断面が逆T字型の底が広がった基礎底盤で、布基礎では床下の地面は土のままとなります。これに対してベタ基礎は、建物の底全体を鉄筋入りのコンクリートで固める構造です。かつては、木造在来工法では布基礎が、2X4工法やプレハブ工法ではベタ基礎が一般的でしたが、最近では在来工法でもベタ基礎を採用する例が多いようです。
寺社や古民家など、日本の伝統的な建築物は、1本ずつの柱単独に設けられる独立基礎(独立フーチング基礎)が用いられてきました。固い支持基盤まで杭を打ち込む杭基礎などの方法も取られます。
屋根
屋根とは、風雨や日射から建物を守るために、建築物を覆うように設けられた構造物です。気候や風土によって特徴があり、形状や屋根材の種類もさまざまです。
屋根の形状および屋根材を決めるうえで、基本として求められるのが、耐震性、防水性、防火性、耐久性、断熱性などです。特に木造住宅の場合には、屋根材の重量によって、耐震性を確保するために構造上、壁の量を増やす必要などもあります。また、素材によって雨漏りを起こさないための屋根の勾配も規定されます。
屋根の形状には、切妻(きりづま)、寄棟(よせむね)、陸屋根(りくやね)、片流れ(かたながれ)、入母屋(いりもや)、方形(ほうぎょう)、鋸屋根(のこぎりやね)、バタフライなどがあります。
屋根材には、瓦などの粘土系、セメントなどを加工した化粧スレート、石を板状にした天然スレート、金属系のガルバリウム鋼板、銅板などがあります。
売主
売主とは、不動産取引においては、土地や建物などの不動産を売る個人または法人をいいます。購入者にとっては、売買契約を結ぶ相手です。
新築マンションや開発分譲地、建売住宅などでは、デベロッパーや不動産会社などの法人が売主となっているのが一般的です。その場合には、売主または代理会社は宅地建物取引業者であり、取引に際しては、手付金の保全義務やクーリングオフの制度などで消費者が守られています。また、仲介手数料も発生しません。
一方、中古物件では、売主は個人のケースが多くなります。その場合は、一般的に不動産会社が「媒介」することになり、仲介手数料が発生します。
まれに、登記上の所有者と売主が異なる場合、所有者の代理人が売主になっている場合、売買契約に売主ではなく代理の人が立ち会う場合などがあります。そのような例外的なケースでは、契約の前に本人確認や委任状の確認が重要となります。