附帯工事費
ふたいこうじひ
附帯工事費とは、建物以外にかかる工事費です。
附帯工事費とは、建物以外にかかる工事費のことです。別途工事費とも呼ばれます。建物の建築費用は、
本体工事費と附帯工事費の合計額となります。
附帯工事費には、古家
解体費(古い家屋がある場合)、
地盤調査費・
地盤改良費(地盤が弱い場合)、
配管工事費(ガス・水道の
配管を
敷地内に引き込む)、空調工事費(エアコンの設置や
床暖房の工事費)、外構工事費(塀、
門扉、車庫、
造園など)、造作棚など
オプション工事費、などがあります。
附帯工事費は、何を必要とするかによって、費用が異なります。
見積書になかったもので、着工後に追加されるものもあり、コストアップの原因となります。
見積書に記載される附帯工事費には何が含まれているのか、丁寧な確認が必要です。
オプション
オプションとは、新築の一戸建てやマンションあるいは住宅の建築などで、標準仕様には含まれない設備や建材のことをいいます。標準仕様には、構造、建材、設備など何を用いるかが決められています。これ以外に、設備をグレードアップしたり、内外装の仕上げ材を変更する場合や、標準仕様にはない設備を追加するなどのケースです。オプションには、有償の場合と無償の場合があります。例えばシステムキッチンのカラーセレクトなど、無償で選べるケースもあります。また、間取りなども、いくつかのパターンから選択できるものもあり、通常は申し込み期限がありますが、有償・無償は対象物件によって異なります。
モデルルームやモデルハウス、パンフレットの写真などでは、オプションのものを用いていることもよくあります。ただし、オプションである旨や、有償であればその旨を表示しているのが一般的です。気に入った内装や設備があれば、標準仕様なのかオプションなのか、しっかり確かめることが大切です。
地盤改良
地盤改良とは、建物の基礎地盤を安定させるため、地盤自体の強度を高めることをいいます。軟弱な地盤に対して、液状化や地盤沈下などによる被害を避けるために施される工事の一つです。
地盤改良の方法には、地盤の中の水を抜く方法や、地盤に地盤固化材を混ぜて固める工法があります。地盤を固める工法は、軟弱地盤の深さによって適する工法が異なります。2m以内程度と比較的浅い場合には、地盤全面にわたって元の土とセメント系固化材を混ぜ合わせて固める、表層改良工法が一般的に採用されます。軟弱地盤が深部に及ぶ場合や超軟弱地盤の場合には、セメントミルク(セメント系固化材と水を混ぜたもの)を地盤の中に注入撹拌して、柱状の改良杭をつくる杭状改良工法が選択されます。そのほか、砕石を用いる工法などもあり、さまざまな地盤改良技術の発展がみられます。
見積書
住宅を建築したりリフォームするときには、プランに対してどのくらい建築費用がかかるのか、見積書によって確認します。依頼先を決めるに当たって、複数の業者から相見積を取るケースもあります。初期段階の見積書は、ラフプランをベースとした「概算見積書」になるのが一般的です。その後、設計や設備の詳細が確定した段階で、工事請負契約の前提となる本見積書(詳細見積書)が提示されます。
見積書の形式は会社によって異なりますが、建物本体にかかわる本体工事費と、カーポートや門扉などの附帯設備や地盤改良費などを分けて表示されることが多いようです。見積書によっては、設置する設備の明細やそれぞれの費用が細かく記載されているものもあれば、トータルで表示されている場合もあります。そのため、希望した設備や建材、必要な附帯工事などが見積書に反映されているか、一つひとつ確認したうえで契約するのが賢明です。
床暖房
床暖房とは、床を暖めて部屋を暖房するものです。床を暖めることで、暖まった床面から放射される輻射熱が部屋を暖めます。
床暖房は足元から暖めるため、上部に熱がこもりにくく、自然な暖かさが室内に広がります。また、火を使わないため空気を汚さず、音や風、においなども発生しません。輻射熱で部屋を暖めるので、空気の乾燥も少なくなります。
床暖房には、電気式と温水式があります。電気式は部分暖房や短時間の暖房に、温水式は広い部屋や長時間の暖房に適しています。初期費用は温水式の方が高くなりますが、ランニングコストは低めで、耐久年数も30年以上など長期になります。電気式も深夜電力を利用する蓄熱式を採用すると、初期コストは上がりますが、ランニングコストは抑制できます。
敷地
敷地とは、建物が立っているか、これから建物を建てる土地のことです。敷地面積は、その土地の面積のことで、水平投影面積をいいます。水平投影面積とは、土地や建物を真上から見たときの面積で、傾斜や凹凸があっても、水平として測定した面積になります。
敷地面積には、登記簿に記載された登記簿面積(地積)と実測面積が異なっている場合があります。そのため、土地の売買契約などにおいては、土地家屋調査士などの専門家による実測をしてからというのが鉄則です。
なお、住宅を建てるために土地を購入するときには、接道条件などによっては、土地面積の一部が敷地面積に算入できないので、注意が必要です。また、敷地面積だけでなく、建物の配置や駐車場のスペースなども考慮しましょう。
地盤調査
地盤調査とは、建物などを建てる際に、地盤の性質や強度などを調べることです。地盤調査によって、建物が安全に支えられるかどうかを把握し、必要に応じて地盤改良工事や構造の設計を行います。
地盤調査の方法には、スウェーデン式サウンディング試験(SWS)、ボーリング調査(標準貫入試験)、表面波探査法、サンプリングなどがあります。宅地ではSWSが一般的で、先端がキリ状の器具に荷重をかけて地盤の強さを測定します。SWSは敷地の5ケ所以上の測定が基本で、コストは1ケ所につき2~3万円が相場です。マンションやビルなどを建設する際には、ボーリング調査を実施します。最も基本的な地盤調査で、地耐力を測定すると同時に、土を採取して地質も調べます。表面波探査法は、地表から地中に振動波を発信して地盤の固さを調べるもので、SWSとボーリングの中間ぐらいの精度です。
造園
造園とは、庭をつくることです。家庭の庭づくりから、公共の公園や庭園などの造園工事まで、大小の空間スペースを創作するものとなっています。
個人の庭では、建物と一体になって自然と調和した心地よい生活空間として庭がつくられます。庭の様式には日本庭園や洋風庭園、イギリス風のガーデニングもあれば、坪庭やパティオなどもあります。また、都市部のマンションやオフィスビルでは、屋上庭園や壁面緑化、空中庭園なども創造されています。
公共の空間では、公園や遊園地、レクリエーション施設などのほか、街路、植物園、アトリウム、河川など、人々が暮らすさまざまな生活利便施設や社会施設において、自然環境と調和した美的空間がデザインされます。
造園業は、植物の特性や環境適応性などの知識はもとより、調査、計画、デザイン、施工、管理などにまたがる技術体系をもった専門職となっています。厚生労働省が認定する造園技能士の国家資格もあります。
配管
配管とは、建物内の設備機器と屋外の上下水道、ガス管を結ぶ専用管や空調用ダクトなどを配置することです。配管には、給水管、排水管、ガス管、配水管、空調の換気管などがあります。配管図には配管経路、接続方式、設備機器の設置場所などが示されています。
配管工事は専門職である配管工が行います。具体的には、配管図に即して、管を切断し、折り曲げるなどの加工をして、継手という道具でつなぎ、弁の取り付け、溶接やネジでつなぐなどで配管を完了させ、各設備を取り付けて運転できるようにします。
配管は建物が完成した後では目につかないものですが、住宅の維持管理上重要な役割を担います。清掃口や点検口が設けられているなど、長期的な維持管理が配慮されていることが重要です。
門扉
門扉とは、正面出入口として門に設けられた扉です。建物の外観イメージを左右するもので、セキュリティ面でも重要な役割を果たします。
門扉は、建物と外部のつながり方によって、クローズタイプから、セミクローズ、オープンタイプと、堅牢さや柔らかさなどデザインが異なります。セキュリティやプライバシーを重視する場合にはクローズなイメージになり、街並みとの調和を重視する場合にはオープンなデザインとなります。
門扉の種類には、両開き、片開き、親子タイプがあり、設置スペースに合わせて選びます。
門扉の素材には、錆や腐食に強いアルミ形材が最もよく使用されます。ほかには、アルミ鋳物、アイアン(鉄)、木製、樹脂製、ステンレスなどがあります。デザインでは、格子系、スリット系、目隠し系、装飾系、パネル系などがあります。
門扉の選択には、外まわり全体との調和やセキュリティ機能などを考慮して検討することが大切です。
本体工事費
本体工事費とは、建物そのものの建設工事費で、建築コストの中心を占めます。一般的に「坪単価」といわれるものは、本体工事費を指します。
本体工事費には、大別して「躯体工事費」「仕上げ工事費」「設備工事費」があります。「躯体工事費」は、仮設工事、基礎工事、木工事などで、本体工事費の4割程度を占めます。「仕上げ工事費」は、外装工事、内装工事などで、屋根、外壁、内壁、天井などの仕上げ材や工法によって費用の違いはあるものの、本体工事費全体からすると、大きなコストの違いは出にくいところです。「設備工事費」は、キッチン、浴室、洗面などの水回りや床暖房など、設備関連の工事費です。設備機器は高機能化や省エネ対応が進み、高品質なものを選ぶほど、コストアップとなります。
なお、どこまで本体工事費に含めるかは、メーカーによって異なります。オプションの設備などは本体工事費に含めない場合もあります。
建築にかかるコストは、本体工事費以外にも附帯工事費や諸費用があります。建築費全体に占める本体工事費の割合は、7~8割が目安となります。
解体費
解体費とは、古い家を解体して更地にするための費用です。古家の解体は、新築工事の請負先に依頼するケースが多いようですが、解体業者に直接依頼する方法もあります。
古家の解体は、床面積が80m2以上の建物であれば「建設リサイクル」法の対象となり、解体事業を行える事業者は限定されています。
解体工事費には、仮設足場の組み立て、養生(ほこりの飛散を防止するため、建物の周囲を囲むなど)、建物の解体、廃棄物の分別・搬出、産業廃棄物(解体工事で出た木材など)処分、整地、近隣対策費などがあります。解体工事にかかる費用は、建物の大きさだけでなく、建物の構造や隣接する道路・隣家との位置関係、廃棄物の量などによって大幅に異なります。そのため、坪単価では算出できません。安易な見積もりでは、後から追加費用が請求されることもあるので、きちんとした現地調査に基づいた見積もりを依頼するのが賢明です。
また、解体費の相場は地域による違いもあります。在来工法の木造2階建ての場合、坪単価で2~5万円程度が目安です。
なお、解体費には家電や家具などの廃棄処分費用は含みません。家電は、家電リサイクル法に基づいた処分が必要です。
解体工事には、事前の届出などを含め一定の期間がかかります。解体業者からおおよそのスケジュールを確認し、余裕をもってみておく必要があります。